リーマンショックから11年、長銀・日債銀破綻から21年、危機は繰り返す?

 11年前(2008年)の9月15日、米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻すると、世界景気は急激に悪化し、「リーマン・ショック」と呼ばれる不況に陥りました。

 リーマン・ブラザーズの財務が悪化し、経営危機に瀕していることは、当時、すでに知れ渡っていました。ただし、巨大金融機関リーマンが破綻すると、世界中に金融危機が拡散する恐れがあるので、米政府が公的資金を入れて救済すると考えられていました。それだけに、リーマン破綻のニュースで衝撃が走り、世界の株式市場は大暴落しました。

 この衝撃から、一時的に世界中で「需要消失」が起こり、世界中で製造業の生産が止まりました。金融危機から始まり、製造業の危機に発展しました。

21年前にも世界的な金融危機があった

 21年前、1998年にも、金融危機がありました。日本では、日本長期信用銀行と日本債券信用銀行が破綻し、日本の金融危機がスタートしたのが1998年でした。同時に世界も危機に見舞われました。中南米の通貨危機がアジアに拡散し、さらにロシア危機まで起こったのが1998年でした。

 1998年の危機から10年後の2008年にリーマンショックが起こり、その11年後が今年です。危機は繰り返すと心配する人もいます。

 私は、1~2年以内にリーマン級の危機が起こる可能性は低いと考えています。確かに、米中対立が泥沼化し、世界経済が崩壊する懸念も出ています。ただし、冷静に分析すれば、今は、当時とまったく異なる環境です。

 今日のレポートでは、リーマンショック時と今を比較し、今ある世界の金融市場のリスクについて、考えます。その前に、そもそも、リーマンショックはなぜ起こったのか、そこから始めます。