金相場の多くの上昇要因はトランプ大統領に起因?
以下の図は前回の「金(ゴールド)輝く。NYは1,500ドル到達、東京は5,000円超で史上最高値更新」でも述べた、筆者が考える足元の金相場を取り巻く環境のイメージ図です。
図:足元の金相場を取り巻く環境(イメージ)
「有事ムードの強弱」、「中央銀行の金保有高の増減」、「代替資産としての注目度(株との逆相関)」、「代替通貨としての注目度(ドルをはじめとした通貨との逆相関)」という伝統的な金価格の変動要因が作用していると考えられますが、留意すべき点は、現在これらが同時に発生し、同時に金相場に作用していると考えられる点です。
つまり、有事、中央銀行、株安、などが単体で作用しているのではないということです。“株安だから金価格が上昇した”、“有事が発生したから金価格が上昇した”というコメントは、現在の金相場の一つの面の説明に過ぎず、全体を指し示すものではないと言えます。
そして、これらの「有事」「中央銀行」「代替資産」「代替通貨」というテーマを、金価格が上昇させる方向に仕向けたのは、武力衝突リスクの発生の種をまき、米中貿易戦争を発生・激化させ、米金融緩和 実施・強化に向けて圧力をかけた、トランプ大統領その人だと言えます。
しばしば、トランプ大統領のような人物はその存在そのものがリスクだから、トランプ大統領が大統領である期間は、リスクが絶えないため金価格は上昇しやすくなる、という趣旨のコメントを耳にすることがあります。
これは、筆者の考えと結論(トランプ大統領≒金価格の上昇要因)は変わりませんが、プロセスが異なります。
トランプ大統領がリスクの高い人物だから、その存在そのものが金相場を上昇させるのではなく(トランプ大統領は金相場の直接的な変動要因ではない)、トランプ大統領が自分の強い思いや施策を推し進めれば推し進めるほど、金相場の伝統的な上昇要因が同時に刺激され、その結果、金価格が上昇する(トランプ大統領は金相場の間接的な変動要因である)のだと思います。
トランプ大統領が金相場を変動させる直接的な要因ではなく、間接的な要因と考えることが妥当であり、このように考えることが金相場の材料を俯瞰することにつながると筆者は考えています。
以下より、トランプ大統領を中心としたこのような環境が、今後どのように変化するのか、トランプ色が強まる(≒金相場の上昇要因が強まる)のか、逆に弱まる(≒金相場の上昇要因が弱まる・下落要因が強まる)のかについて考えてみます。