日米株式の積立投資効果を長期市場実績で比較する
まずは、国内株式の長期積立実績を検証してみたいと思います。図表3は、平成元年(1989年初)を起点に毎月末に「3万円」をTOPIX(配当込み指数)に積立投資(定時定額投資)した場合を検証したものです。投資元本は1,101万円(簿価=3万円×367回)ですが、時価ベースの総資産は1,734万円に膨らんできたことが検証できます(2019年7月末)。
ドルコスト平均法(定額投資の時間分散)と複利運用(雪だるま)の効果で、相場の上下変動を乗り越え、「長期に積み上げてきた数量(口数)」が投資元本に対し約7割増のリターンを生み出したことを示します。
「日本株式は長期投資にふさわしくない」と言われることもありますが、実際は(平成元年初を起点にすると)「投資元本は約1.7倍に膨らんできた」との積立投資成果を検証することができます。
図表3:国内株式の長期積立投資実績(過去30年)
一方、米国株式の市場実績は「リスク調整後リターン(株価変動を加味したリターン)の面で史上最強」と形容されることがあります。米国株式こそが、世界の資本主義経済の発展、イノベーション(技術革新)の成長、株主価値の向上を主導してきたことを反映すると考えられるからです。
もちろん、時価総額加重平均指数であるS&P500指数を構成する一部企業には、新陳代謝の荒波に飲み込まれて時価総額を減らし、構成銘柄から除外された企業もあります。逆に、市場が「勝ち組」と評価する企業の時価総額が優勢となるのも当然で、米国ではメガテック(大手ハイテク)企業がその典型例です。
図表4は、米国株式(S&P500指数/円換算)の平成元年以降の積立投資(定時定額投資)実績を検証したものです。
1989年初を起点にして毎月末に「3万円」をS&P500指数(円)に積立投資した結果、投資元本(簿価)は図表3の国内株式と同じ1,101万円(3万円×367回)だったのに、時価ベースの総資産は5,534万円に膨らみ、総資産が投資元本の5倍強に成長してきたことがわかります(2019年7月末)。
米国の個人投資家には、投資は「投機(短期的売買)」ではなく、「資産形成(貯めながら増やす=余剰資金には市場で働いてもらう=長期の視野で経済や企業の成長期待を享受する)」という考えが浸透しています。
図表2で示した米国株式(S&P500指数/円換算)の配当込みリターンは前年同月比の算術平均で+11.3%と計算できます。長期の視野でリスク(リターンのブレ)を乗り越えた我慢に相応しいリターンを享受できたことが検証できます。
国内株式だけに積立投資するより、「米国株式に積立投資した方が断然有利だった」との事実が再認識できます。
この傾向(米国株式のリターン>国内株式のリターン)は、令和時代を通じ変わらないだろうと考えています。株価が急落した時こそ、「米国株式の長期積立投資」を前向きに検討したいと思います。
図表4:米国株式の長期積立投資実績(過去30年)
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