為替変動リスクを織り込んだ円換算パフォーマンスでは?

 とはいうものの、外国や米国の株式投資には「為替リスク(為替変動によるリターンのブレ)」が足かせになるとの見方もあります。それでは、外国株式や米国株式の円換算パフォーマンスは国内(日本)株式に劣後したのでしょうか。

 図表1と同様、平成元年初を起点(100)として、ドル建て指数を都度の為替で円換算した指数(円)を試算し、それぞれのパフォーマンス(総収益)を比較しました。国内株式は1989年末をピークに軟調に転じ、不動産不況、金融不況、デフレ不況、円高不況と呼ばれる長期低迷を経て、2012年末以降はいったん回復基調を辿りました。

 ただ、2018年に入ると米中貿易摩擦の激化、中国の景況感悪化、為替の円高不安などが重石となり、総じて国内株式は乱高下を繰り返しつつ外国株式や米国株式に出遅れる展開となりました。過去約30年における円換算実績で比較すると、外国株式は約12.4倍に成長し、米国株式は約16.2倍、円ベースで見ても「国内株式の劣勢」は鮮明となっています。

図表2:内外株式の円換算実績(総収益指数/1989年初来)を比較

*米国株式と外国株式はそれぞれ時点の為替で円換算(出所)Blombergより楽天証券経済研究所作成(2019年7月末)

 短期的な相場変動を乗り越え、国内株式の劣勢リスクを考慮する投資戦略を考えるなら、「長期の視野に立ったグルーバル分散投資」を実践していくことが大切だと考えています。

 なお、最近は国内の個人投資家でも、「貯めながら増やす積立投資(定時定額投資)」の意義を理解し実践する方々が増えています。

 本稿では、「史上最強の長期積立実績」を誇るとされる、米国株式の長期積立投資を実践した場合と、国内株式のみで長期積立投資を実践した場合の市場実績を検証。市場実績にもとづくそれぞれの成果を比較した上で、「ドルコスト平均法」や「複利効果」と呼ばれる積立投資のメリットを確認したいと思います。