機体納入遅延も影響は一時的、ボーイング「737MAX」は20年年初に再開か

現地コード 銘柄名
02588

中銀航空租賃

(ビーオーシー・アビエーション)

株価 情報種類

 67.15HKD
(7/31現在)

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 インドネシアの格安航空会社ライオン・エアが18年10月に墜落事故を起こして以来、米ボーイング社は「737MAX」型機のソフトウェアの修正を進め、作業はすでにほぼ最終段階に入った。BOCIは737MAXが20年年初にも運航に復帰し、機体の引き渡しも再開されると予想。この要因とエアバス「A320 NEO」の引き渡しの遅延観測を反映させる形で、中銀航空租賃の19年、20年の利益見通しを3-6%減額修正した。737MAXの引き渡しが再開できないという“最悪のシナリオ”の下では、同社利益は20年に現行予想から8%下振れするとみる。ただ、航空機売却の先送りやリースバック向け航空機の取得といった方法で、マイナス影響をある程度軽減することも可能という。BOCIは算出ベースを「19年予想」から「20年予想」へ切り替えたのに伴い、目標株価を引き上げ(20年予想PBR1.3倍相当)、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 19年4-6月の引き渡し機体数は14機で、売却数は8機。6月末現在、同社の保有機材数は314機、ほかに管理機材が23機となった。ただ、上期には予定されていた18機の引き渡しが遅延(737MAX6機とエアバス機12機。エアバス機の遅れは主に、生産上の制約によるもの)。経営陣は19年通期で最大30機の遅延を見込む。

 737MAXに関する予備調査によれば、最大の問題はフライトコントロールシステムを担うソフトの不具合。ボーイング社は今後、米連邦航空局(FAA)側の要求を全てクリアし次第、承認申請を行う運びだが、経営陣によれば、これは9月中にも実現可能。10-12月には運航を再開できる可能性があるという。BOCIは社会的な信頼を回復するまでにはかなりの時間がかかるとしながらも、20年年初のサービス再開と中銀航空租賃への引き渡し再開を予想している。

 米国の利下げ局面入りを背景に、BOCIは同社のグロス・リース収益率の下落圧力が大きく和らぐとみている。また、同社の負債構造の健全性を評価し、ネット・リース収益率が19-21年にわたり、8.3%の水準を維持するとの予測を据え置いた。737MAXに関する予測を反映させる形で、19-21年の引き渡し機体数に関する想定値を79機、54機、50機から、42機、69機、63機に修正。19年、20年の利益見通しを3-6%減額修正しながらも、21年にはその分を取り戻すとしている。

 BOCIは短期的に、業界全体に及ぶ引き渡し遅延が航空機の価値向上という形でリース会社にプラスとなる可能性を指摘。中長期的には、同社保有機材の機体年齢の若さや需要の大きさが、市況の変動による影響を軽減し、リース事業のROA(総資産利益率)の安定化に寄与するとの見通しを示した。短期的には引き渡し遅延による利益への影響が見込まれるとしながらも、ROA、ROE(株主資本利益率)の修正幅は限定的と指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。