ちょっと用心深過ぎる?いや、そんなことはありません!

 ここであなたは疑問に思うことがあるでしょう。

「税引前の10%」で計算した月々約41,700円という金額が住宅ローンを覚悟して支払っていくと決断した人が支払う金額としてはあまりにも低く設定し過ぎているのではないか?という疑問です。

 つまり、あまりにも用心深すぎるのではないか?と。

 夫婦2人子ども2人の世帯ならば、賃貸でもこんなに安い部屋はなかなかないと思ったのではないでしょうか。

 しかしここで勘違いしてはいけません。

 これは賃貸料金の話をしているのではなく、住宅ローンの月々の返済額の話をしているのです。

【返済額は手取り年収の20〜25%以内なら安心】という説に準じてこの手取り年収416万円で計算した場合、月々の返済額は6万9千円から8万7千円です。

 もしこれが賃貸ならば、月々7〜8万円の部屋に住んでも問題ないかもしれません。

 しかし、住宅ローンを組んで家を買った場合は前述したように固定資産税や都市計画税などの支払い、メンテナンス費用を自分で貯蓄しておかなければなりません。

 これらは賃貸であれば基本的に必要のない出費です。

 これに繰り上げ返済を計画するのであれば、繰り上げ返済用の預金も必要となります。

「繰り上げ返済ができている人は1%にも満たない」と彼は言います。

 それだけキツキツの経済状態で住宅ローンを組んでいる人が多いのでしょう。

 そのことを勘案すると、月々41,700円の支払いですら決して楽ではないということが簡単に想像できるはずです。

 よく不動産会社や住宅メーカーが「月々の賃貸料と同額か、それより低い金額で月々のローンが支払えます。あなたも一軒家が持てます!」と勧誘する場合がありますが、それをお得な買い物だと判断するのは早急過ぎるのです。

住宅ローン以外の費用の方が豊かな暮らしをしていくには大切

 これらの他に、たとえ住宅ローンであろうが賃貸であろうが関係なく、子どもの教育費の預金や夫婦の老後のための預金などもしなくてはならないことを忘れてはいけません。

 そのような状況の中、一軒家を持つとなれば必然的に居住スペースが広くなるため、水道光熱費も賃貸時より高くなる可能性を秘めています。

 賃貸であればインターネットも共有されていて低料金、あるいは賃貸費に込みであったものも、持ち家となれば毎月実費を支払わなければなりません。

 つまり、住宅ローンを少しでも楽に返済していくには、借り入れるお金を極力少なくすることで、できる限り月々の返済額を少なくする必要があり、住宅購入前に自己資金である頭金+諸経費を相当貯めておかなければならないということです。

 この融資部調査役が限度と言う【税引前の年収の10%までがギリギリ】という例で言えば、手取り年収416万円の中から年間50万円住宅ローンにあてることになります。

 残りの366万円の中から前述のさまざまな預金をしつつ生活をしないといけないのです。

 住宅ローンの支払い分を差し引いた366万円÷12ヶ月=月々305,000円で家族4人が、固定資産税用の貯金とメンテナンス費用の貯金、そして金利を少しでも安くしたい人は繰り上げ返済用の貯金をしながら生活をしなくてはならず、さらには子どもの教育費の預金、夫婦の老後のための預金なども準備しなくてはいけないのです。