売買高が少ない銘柄のメリットとリスク

 売買高が少ない銘柄の多くは、他の銘柄に比べ、PER(株価収益率)や配当利回りといった株価の割高割安度を測る指標から見て割安になっていることが多いです。
 なぜかと言えば、「流動性リスク」が株価に織り込まれているからです。

 売買高が少ない銘柄を買ってはいけないといっているわけではありません。流動性リスクに目をつぶることができるのであれば、他の銘柄より割安な銘柄を手に入れることが可能です。

 ただ、個人的には売買高が少なすぎる銘柄はそもそも株価も上昇しにくいと思っています。それは外国人投資家や機関投資家、投資信託のファンドマネージャーなど、多額の資金を扱う投資家にとって投資対象になりにくいからです。

 売買高が少ない銘柄は少量の売買でも株価が大きく動く上、注文自体も少ないのでまとまった金額を投資するのが困難です。その結果、多額の資金を扱う投資家は売買高が少ない銘柄については、いくら割安や業績が好調だったとしても、投資対象にすることができないのです。

売買高・筆者の判断基準とは?

 このようなことから、筆者は銘柄選択をする際に売買高を見る一定の基準を設けています。それにより、流動性が低いと判断し、投資対象から外しています。

 その基準とは、「自分が売買したい株数の100倍の売買高がコンスタントにあるかどうか」です。
 例えばC社株を1,000株程度買いたい、と思ったとき、売買高をチェックして1日当たり最低でも1,000株×100倍=10万株の売買がなければ、投資対象から外すというものです。

 売買高が10万株程度では、それほど売買注文が入っていないため、成行注文を出すと今ついている株価から少し離れた価格で売買が成立することも少なくありません。ですからこれは最低限満たすべき基準です。

 また、信用取引をする場合は、現物取引で売買する場合よりも機動的な売買が求められます。そのため、売買高の基準をさらに厳しくし、売買高が大きい銘柄を投資対象とするのがリスク管理の面からは望ましいです。

 銘柄選択で最も重視すべきは業績であることは間違いありませんが、流動性リスクという追加的なリスクを抑えるために、売買高もしっかりとチェックするようにしてくださいね。

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