ECB利下げ示唆でユーロ売りが強まる可能性。日銀の打ち手は少なく
ECB(欧州中央銀行)も日銀も、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を見てから政策方針を決めたいところですが、今回の日程ではFOMC前の開催となっています。FOMCが利下げするだろうという環境下(ドル売り要因)で、ECBも日銀も前回と変わらない方針を示せば、ユーロは買われ、円も買われることになります。そのため、少しでも両者とも金融緩和を強める姿勢を示す可能性があります。この1週間は金融緩和競争勃発を象徴する1週間となりそうです。
今回、ECBの金融政策変更は期待されていませんが、9月の利下げ期待が高まっています。そのため、理事会後のドラギECB総裁の記者会見で、時期も含めた利下げを示唆するかどうかが注目されます。ここで示唆されればユーロ売りが予想されます。あるいは一歩進んで、金融政策の方向性を示すフォワードガイダンスをより緩和的に修正してくるかもしれません。そうなればユーロ売りは強まる可能性があります。
一方で、政策の選択肢の余地が少ないのが日銀です。黒田東彦総裁は直近の講演で「必要ならさらに大規模な緩和を行うことができる」と述べていますが、恐らく今回の会合でも同じような表現を言い続けるだけ、ではないでしょうか。強い言い回しで一時的に円安になっても、政策変更がない、あるいは先行きの具体的な政策の方向が示されなければ、円安の持続力はないと思われます。金融緩和競争の中では日銀が最も分が悪そうです。円安に行きにくい背景が続きそうです。
肝心のFOMCにサプライズはあるか
FOMCでは0.25%の利下げとの見方が大勢のようです。
先週、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が0.50%利下げを示唆する発言をしたことから、0.50%の利下げ期待が高まりました。しかし、ニューヨーク連銀は総裁の発言が学術的な内容だと説明したことや、米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)が「FRB(米連邦準備制度理事会)要人は今月末の会合は0.25%の利下げのサインを送っている」と報じたことから、0.50%の利下げ期待が一気に後退しました。今週に入って、来週のFOMCでは0.25%の利下げとの見方が大勢となっています。