7月末まで開催される金融政策委員会が重要

 今週から来週にかけて日米欧の中央銀行の金融政策委員会が開催されます。年初と比べると各国とも金融姿勢が様変わりしています。

 特に欧米は金融引き締めから金融緩和へと半年かけてスタンスを変えてきており、今回の金融政策委員会での政策決定は、年後半の市場の方向性を決めるかもしれません。各開催日程が近接していることから、相場は開催日直前、直後に加えて、開催日から開催日までの合間に上下に動くことも予想され、注意してマーケットに臨む必要がありそうです。開催日程は以下の通りです。

ECB利下げ示唆でユーロ売りが強まる可能性。日銀の打ち手は少なく

 ECB(欧州中央銀行)も日銀も、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を見てから政策方針を決めたいところですが、今回の日程ではFOMC前の開催となっています。FOMCが利下げするだろうという環境下(ドル売り要因)で、ECBも日銀も前回と変わらない方針を示せば、ユーロは買われ、円も買われることになります。そのため、少しでも両者とも金融緩和を強める姿勢を示す可能性があります。この1週間は金融緩和競争勃発を象徴する1週間となりそうです。

 今回、ECBの金融政策変更は期待されていませんが、9月の利下げ期待が高まっています。そのため、理事会後のドラギECB総裁の記者会見で、時期も含めた利下げを示唆するかどうかが注目されます。ここで示唆されればユーロ売りが予想されます。あるいは一歩進んで、金融政策の方向性を示すフォワードガイダンスをより緩和的に修正してくるかもしれません。そうなればユーロ売りは強まる可能性があります。

 一方で、政策の選択肢の余地が少ないのが日銀です。黒田東彦総裁は直近の講演で「必要ならさらに大規模な緩和を行うことができる」と述べていますが、恐らく今回の会合でも同じような表現を言い続けるだけ、ではないでしょうか。強い言い回しで一時的に円安になっても、政策変更がない、あるいは先行きの具体的な政策の方向が示されなければ、円安の持続力はないと思われます。金融緩和競争の中では日銀が最も分が悪そうです。円安に行きにくい背景が続きそうです。

肝心のFOMCにサプライズはあるか

 FOMCでは0.25%の利下げとの見方が大勢のようです。

 先週、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が0.50%利下げを示唆する発言をしたことから、0.50%の利下げ期待が高まりました。しかし、ニューヨーク連銀は総裁の発言が学術的な内容だと説明したことや、米紙WSJ(ウォールストリートジャーナル)が「FRB(米連邦準備制度理事会)要人は今月末の会合は0.25%の利下げのサインを送っている」と報じたことから、0.50%の利下げ期待が一気に後退しました。今週に入って、来週のFOMCでは0.25%の利下げとの見方が大勢となっています。

今週のドル/円は?

 ドル/円はウィリアムズ総裁の発言で107円台後半から107円台前半に急落しましたが、NY連銀の説明によって元の水準に戻し、また、WSJの報道によって108円台で今週は動いています。

 0.50%ではなく0.25%の利下げが濃厚となったことや、0.25%利下げさえも既に織り込んだことから、もっと円安に反発しても良さそうですが、108円台に乗せてからの伸びが鈍い動きとなっています。

 このように、円安に行きにくいのは年内のさらなる利下げ期待が背景にあるようです。7月の次は9月か12月、もしくは9月も12月も利下げとの見方です。

 ただ、注意しなければいけないのは、金利市場では年2~3回の利下げを織り込んだ水準にあるとみられているため、9月が近づくにつれて9月利下げの可能性が低いとの見方が広まれば、金利は上昇し、ドル/円も110円方向に反発する可能性があるという点です。

 相場はFRBの高官発言によって上下に動きましたが、今週は「ブラックアウト」期間()に入ったことで金融当局者の発言によって動くことはなさそうです。

※「ブラックアウト」期間…金融政策を決めるFOMCの参加メンバーらが、金融政策に関することについて発言を控える期間

 また、FOMCが控えていることから様子見相場が続きそうですが、7月26日(金)発表の米4-6月期GDP(国内総生産)速報値は、FOMCの決定に影響を与える可能性があるため、注目する必要があります。2%弱の予想を大幅に上回れば、利下げ期待が大きく後退することも予想され、ドル/円は反発する可能性もあるため注意が必要です。もちろん、2%を下回れば、来週の利下げ幅や年内の利下げ回数への期待が大きくふくらみ、FOMCの前にドル安・円高に動くことが予想されます。

 日米欧の金融政策の他にも、7月に入ってドル/円の下方リスクを誘引する波乱材料が増えてきています。英国を始めとした欧米との緊張が高まるイラン情勢や、参院選が終わったため交渉が始まる日米通商協議などの動向に留意する必要があります。

 特に日米通商協議については、交渉を有利に運ぶためプレッシャーをかけてくるのはトランプ米大統領の常套(じょうとう)手段であるため、為替に対する発言には警戒しておく必要があります。