3つめの壁。遺族年金

 遺族基礎年金は死亡した者に生計を維持されている子のある配偶者、または子に支給されますが、この配偶者および子の年収が850万円未満であることが要件となっています。

 共働き世帯で、夫が死亡したとき、妻の給与収入が850万円以上である場合、妻が死亡したとき、夫の給与収入が850万円以上である場合には遺族基礎年金は支給されません。

 なお、遺族基礎年金が支給されないこととなった場合、その後年収が850万円未満に減った場合でも、遺族基礎年金は支給されません。

 反対に、年収が850万円未満であり、遺族基礎年金が支給されることとなった場合、その後年収が850万円以上に増えた場合でも、遺族基礎年金の支給が打ち切られることはありません。

 なお、850万円の壁は以下の遺族年金でも適用されます。

1.寡婦年金
国民年金の遺族給付。要件を満たす60歳以上65歳未満の妻に支給。

2.遺族厚生年金(報酬比例部分)
厚生年金被保険者である者、老齢厚生年金の受給資格を満たした者等が死亡した場合に要件を満たす遺族に支給。

3.遺族厚生年金の中高齢寡婦加算
死亡した者に生計を維持されており、要件を満たす40歳以上65歳未満の妻に支給。

4.遺族厚生年金の経過的寡婦加算
死亡した者に生計を維持されていた、昭和31年4月1日以前に生まれた妻に65歳以降に支給。

 850万円という年収は区切りがよい数字ではないため、あまり注目されませんでしたが、今後は注目度が高い数字になりそうです。

 その本人にしてみれば悩ましい問題ですが、年収が高いための悩みのため、他人に打ち明けにくいですよね。850万円以上の収入がある場合、税負担が重く、社会保障が薄いことを念頭におき、必要に応じて、家計や老後設計、保障設計を見直して、改善を図りましょう

このままで安心できる?老後に向けてはじめるお金対策
最新記事・限定情報はTwitterで配信中♪

(益山真一)

 ※この記事は2018年4月24日にマネラボサイトで公開されたものです。

記事提供元