預貯金だけでの運用がもっともハイリスク

「今後は、金利0.001%の預貯金だけで運用することが、一番のリスクといえます。モノの価格が上がる分、自分の資産も増やしていかないと、生活は厳しくなっていくでしょう」

「資産を増やすためには、分散させる必要がある」とのこと。例えば、預貯金のほかにつみたてNISAやiDeCoを活用したり、外貨に投資をしておいたり。投資信託やETFなど、少額から購入できる商品に投資することも有効なのだそう。

「30代、40代の方は給与額をキープできたとしても、将来安泰とは限りません。これからは若ければ若いほど、運用スキルの差が将来の資産の差となって顕著に出てくると思います」

 高山さんに具体的な運用法を聞くと、「インフレ率2%で上昇していくことを考えると、3~5%の利回りでの運用が望ましい」と教えてくれた。金融庁は「世界経済の成長率は4~5%」と発表しており、リターンが年5%程度のバランス型ファンドも増えてきているという。難易度はそこまで高くはなさそうだ。

老後資金も自助努力で確保するべき時代

 インフレによって影響を受けるのは、現役世代に限ったことではない。定年退職して年金を受け取るようになってからも、同じことが言える。

「70代、80代になった時に仮に年金受給額がキープできたとしても、物価が上がれば、年金だけではカバーできなくなります。老後資金は、年金とは別に夫婦で1500万円は用意しておけると安心といわれています。しかしこれは、自宅購入済みの夫婦が最低限の生活レベルを保てる金額です」

 賃貸住宅で家賃を払い続けたり、夫婦での旅行や友達との食事などを楽しんだりするのであれば、2500万~3000万円は用意しておかないと難しいようだ。

「高齢者を取材していてわかったのですが、80歳ぐらいから老人ホームに入り、そのまま90歳ぐらいまで長生きする方も多いようです。一般的に老人ホームは、東京23区内で最低でも月25万円、関東郊外でも月20万円はかかるので、その費用も用意しておいた方がいいでしょう」

 インフレが続く中で老後資金も必要になってくることを考えると、早めに動き出すに越したことはないが、50代からでも決して遅くはないそう。

「例えば、50歳から毎月3万円ずつ、年5%で運用できれば、定年までの15年間で800万円程度に増やせます。タンス預金だと540万円なので、かなり差が出ますよね。iDeCoやつみたてNISAの活用もおすすめです」

 このまま物価も消費税も上昇していき、自分自身で資産を確保すべき時代になっていくことはほぼ間違いなさそうだ。お金を増やすための運用を始めるのは、今なのかもしれない。
(有竹亮介/verb)

※この記事は2019年3月26日に東証マネ部!サイトで公開されたものです。

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