近年の街づくりのトレンド「コンパクトシティ」とは?

【け】減少の 人口立地で 回避する

 近年の街づくりのトレンドは、「コンパクトシティ」です。「コンパクトシティ」とは、2014年に改正した都市再生特別措置法に基づく枠組みで、住宅や商業施設、交通機関、公共施設などの都市機能を、中心市街地に集約する都市計画の総称になります。国交省が立地適正化計画制度を創設し、人口減に悩む地方都市に向けて推進している国策です。

 このコンパクトシティ構想は、357都市が推進していて、病院や役所、商業施設を集める区域と、住宅を誘導する区域を設定し、人口減や高齢化による行政サービス維持のため、住民がまとまって暮らすように促す政策になります。

 2005年からコンパクトシティづくりに乗り出した富山市は、中心部と拠点になる地域をLRT(次世代型路面電車システム)やバスで結び、居住者を誘導した結果、中心市街地の「転入者から転出者を引いた人数」は15年までで8年連続増加、地価も回復に向かっているのです。この富山市をモデルケースに、多くの地方都市を中心に計画を準備しています。

 しかし、東京23区を中心とした都市部では、この計画が始まる前から、街づくりは駅を中心になされているのが通常です。駅を中心として、乗降者数の多い駅では商業施設やオフィス・公共施設が並び、乗降者数が少ない地域では駅前に商店街があり、駅から少し離れたところに住居地域を配置するのが、街づくりの基本的なやり方になります。

 コンパクトシティは、あくまで人口減少が進んでいる立地において再開発を実施し、駅から遠い住宅地から住民をエリア内に居住させ、行政サービスの費用を抑えるものです。このことにより、都市計画の中心である駅前と駅から離れた住宅街において、行政サービスの質が異なるという問題も生まれます。つまり、日本国内における土地の格差や利便性は、都市計画によって変わるということです。