パウエルFRB議長の議会証言に注目
今月30~31日に開催されるFOMCでは利下げが決定されるのでしょうか。そのヒントとなるのが10~11日のパウエルFRB議長の議会証言(※)です。
(※)議会証言とは、FRB議長が年2回、2月と7月に上院の銀行委員会と下院の金融委員会にて金融政策と経済状況について証言すること。議会証言はハンフリー・ホーキンス法(インフレ抑制などを目的とした法律。2000年に失効)によって定められていたが、法律失効後も慣例により継続されている。今年7月の議会証言では、10日に下院の金融委員会で、11日に上院の銀行委員会で証言。議会証言でFRBの経済見通しや今後の政策方針が明らかになるため、市場でも注目されている。2日間の議会証言はほぼ同じ内容であることが多いため、初日の議会証言の注目度が高い。
実はハンフリー・ホーキンス法では、議会証言と同時に議会へ報告書の提出も義務付けられています。従って議会証言では、大筋で金融政策報告書から外れることは証言しないだろうと言われています。
そしてこの金融政策報告書は先週5日に公表されました。この金融政策報告書では、6月のFOMCの声明文の文言が繰り返されており、「景気見通しを巡る不確実性が増大しており、経済成長への持続へ適切な行動をとる」と明記されています。従って、議会証言でも「適切な行動をとる」との姿勢を強調することが予想されます。
利下げ時期は?利下げ幅は?
金融市場では、「適切な行動をとる」との姿勢が利下げを示唆していると捉えていますが、6月のFOMCの声明文でも、5日の金融政策報告書でも時期は明示されていません。マーケットで7月利下げ期待が高まっているのは、6月のFOMC後の記者会見でパウエル議長が「金融緩和の必要性が高まっている」と主張したことが背景にあります。
10日の議会証言で金融政策報告書の大筋の域を出ないと思われますが、パウエル議長は果たして、7月の利下げを示唆する証言をするのでしょうか。利下げ示唆の場合でも大幅利下げではなく、マーケットの期待通り、段階的な利下げを示唆するのかどうかが注目です。