※本記事は2015年5月15日に公開したものです。
大人の運用教育の必要性
近年、「投資教育」の必要性が強調されているが、自分が一般投資家向けや大学生などを相手に行っているものも含めて、率直に言って満足できるテキストやカリキュラムがない。
日本人のマネーリテラシーを本格的に向上させるためには、中学、高校段階の数学及び社会科で、きちんとした金融知識を教科に組み込んで、大学入試などにお金の問題が多数出題されるようになる状況が必要だろう。自力で損得計算ができない人に、投資をさせようとすることは、金融業界の悪だくみにすぎない。
ある金融機関が作った小学生向けの投資教育教材を見たことがあるが、株式の仕組みを漫画的な図解で説明するのはいいとしても、株を買うことについて「応援したいと思う会社の株を買ってみよう」といった調子で勧めるに至っては、「カモ(=愚かな顧客)の養殖に近い!」と思った。
さて、児童・生徒向けの投資教育も必要だが、もっと緊急に必要なのは、現在既にお金を持っている大人に対する投資教育だろう。そして、この場合、「投資」だけに限るのではなく、「貯蓄」や金融版の「消費者教育」も含めた、「お金をふやすこと全般」について、自分で考えることができるようになるための「考え方」の伝授が必要であるように思う。敢えて名付けるなら、「(お金の)運用教育」だろうか(普及の上では語呂がイマイチに思える点が残念だ)。
今回は、大人向けのお金の考え方教育にぜひ盛り込みたいコンセプトを10個挙げてみた。10個が適切なのかどうかについては、実は筆者自身も納得していないし、異論があり得るが、きりのいい数字でもあり、敢えて10個に絞ってみた。