今後、投資してみたい金融商品・今後、投資してみたい国(地域)
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト 吉田 哲
今回は、毎月実施している設問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「米国」および「日本」と回答したお客さまの割合の差に注目しました(6月の調査は2019年6月24日~26日に実施。当該設問は複数回答可)。
図:設問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「米国」と「日本」と回答したお客さまの割合の差
上記のグラフは、米国と回答した人の割合から日本と回答した人の割合を引いた値の推移を示しています。値がプラスの場合は米国と回答した人の割合の方が大きかったことを、値がマイナスの場合は日本と回答した人の割合の方が大きかったことを意味します。
2017年の始めから2018年の半ごろまで、10%前後、日本と回答した人の割合の方が大きかったことが分かります。「今後、投資をするのであれば日本だ」と感じていた人の割合が、米国のそれよりも大きかった訳です。
しかし、2019年、つまり今年から顕著に状況が逆転し「今後、投資をするのであれば米国だ」と感じる人の割合が、日本のそれよりも大きくなっています。しかも、その度合が月を追うごとに増す傾向にあります。2019年1月は+0.6%でしたが、2019年6月は+21.0%となりました。
この値は、米国と回答した人の割合と日本と回答した人の割合の差であり、相対比較です。以下のグラフは、米国を選択した人の割合と日本と選択した人の割合を個別に見たものです。
図:設問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「米国」と「日本」と回答したお客さまの割合
2019年に入って「差」がプラス方向に推移する傾向が顕著になったのは、米国と回答した人の割合が高止まりし、日本と回答した人の割合が低下しているためでした。
米国と回答した人の割合が高止まりするのは、米国の利下げ観測によって米国株が高値を更新し続けているため、日本と回答した人の割合が低下するのは米国の利下げ観測がドル安・円高を誘発する要因になっているため、だと考えられます。
日本株にとっては、米国株高という追い風と、円高という逆風が同時に吹いているといえ、その点「利下げ、株高」という分かりやすい状況にある米国株の方が、投資対象として(相対的に)魅力があると感じる人が多くなっているとみられます。
引き続き、設問「今後、投資してみたい国(地域)」で、「米国」および「日本」と回答した人の割合の差に注目していきたいと思います。
表:今後、投資してみたい金融商品
表:今後、投資してみたい国(地域)
執筆者の連載
●シニアマーケットアナリスト:土信田 雅之「テクニカル風林火山」
●FXディーリング部:荒地 潤「毎ヨミ!為替Walker」
●コモディティアナリスト:吉田 哲「週刊コモディティマーケット」