成約好調と財務の健全性を高く評価、ホテル部門のスピンオフ期待も

現地コード 銘柄名
00813

世茂房地産控股

(シーマオ・プロパティ)

株価 情報種類

 22.60HKD
(6/11現在)

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 中国の大手デベロッパーの多くが18年以降、物件成約ペースの減速に見舞われる中、世茂房地産は引き続き好調を維持しており、18年の前年比75%増に続き、19年も同36%超の伸びを達成する可能性が高い。また、同社は純負債比率が相対的に低い半面、採算性で業界トップクラスにあり、BOCIによれば、粗利益率は19-21年も約30%を維持する見込み。純負債比率が60%以下にとどまる中で、経常ベースのROE(株主資本利益率)は19年に17.2%、21年に19.6%に上向く見通しという。その半面、収益成長見通しや土地取得状況をめぐる懸念から、現在株価のバリュエーションは同業銘柄を下回る水準。BOCIはこの先の再評価を予想し、株価の先行きに対して強気見通しを付与。同社株のカバレッジを開始した。

 同社が設定した19年の成約目標は前年比19%増の2,100億元。ただ、これはかなり保守的な数字であり、BOCIは少なくとも同36.2%増の2,400億元に達するとみている。19年1-5月の成約実績は前年同期比39.5%増と、同業他社の大半を上回る伸びだった。

 開発用地の取得に向け、18年上期には複数の大型M&Aを実施。こうした戦略的な土地取得方式により、土地市場が過熱していた18年上期に、過度の高額を投じるリスクを抑えた。例えば泰禾集団(000732)との取引だけを見ても、分譲総額は約1,000億元規模。プロジェクトの粗利益率、純利益率は27%、10-11%に達する可能性が高い。

 一方、87都市でプロジェクト264件を展開する同社はすでに、全国区のデベロッパーだが、それでも照準を合わせているのは引き続き主要都市部。18年には割安感が出ていた中小都市部の土地取得を強化したものの、現在の保有用地全体を見ると、うち64%強を1線・2線級の主要都市が占める。さらに同社が進出している3線都市では、現時点で物件相場の回復傾向がかなり鮮明となっている。

 経常ベース利益は18年に前年比26.9%増の46億1,000万元に達したが、18-21年には年率平均41%の伸びを示す見込み。ホテル部門に目を向けると、18年の売上高は19億1,000万元に上り、EBITDAマージンは業界トップの30.8%。同部門は2年以内にスピンオフ(分離上場)する可能性が高く、BOCIは潜在価値を約40億元と推定する。

 BOCIは同社の物件成約の好調見通しや財務の健全性を高く評価。1株当たり予想NAV(純資産価値)に対して40%のディスカウント水準をあてはめ、目標株価を設定した。現在株価の19年予想PER、予想PBRはそれぞれ6.1倍、1.0倍。対NAVでは52.2%のディスカウント水準にあり、BOCIは19年の予想ROE(17.2%)や予想配当利回り(6.5%)を考慮した上で、現在の低バリュエーションを指摘している。また、今後はホテル部門、不動産管理部門のスピンオフの可能性が、NAVの上乗せにつながる可能性があるとしている。