ホルムズ海峡が航行不可となっても、OECD石油在庫で約170日間はカバーが可能か

 米国や日本など先進国を始めとした36カ国(中国を除く)で構成されるOECD(経済協力開発機構)が持つ石油在庫の推移に注目します。

図:OECD石油商業在庫 

単位:百万バレル
出所:EIA(米エネルギー省)のデータより筆者作成

 この1年間、OECD石油在庫は緩やかな増加傾向にあります。2019年5月時点でおよそ29億バレルです。

 単純計算ですが、足元のOECD石油在庫29億バレルを、ホルムズ海峡を経由して輸出される石油の量として試算した日量1,630万バレルで割ると177日。つまり仮にホルムズ海峡が航行不可となった場合、OECD(経済協力開発機構)石油在庫で輸出の減少分をまかない続けることができます。

 また、この在庫は商業在庫であり、各国政府の備蓄は含まれていません。これらの点を考慮すれば、仮に、ホルムズ海峡が航行不可となった場合でも、ただちに私たちの生活に悪影響は出ず、順次備蓄を取り崩しながら、例えば米国などの中東以外の国からの石油の調達を進めることでしばらくは対応が可能と考えられます。

 今回のホルムズ海峡での事件と、再来週に迫ったOPEC(石油輸出国機構)総会での減産継続か否かの決定プロセスへの影響は、来週月曜日の週間コモディティレポートで考察します。