安倍首相のイラン訪問中の日本関連の船への攻撃の意味は…?

 今回の事件で筆者が考える留意すべき点は、安倍首相が、米国とイランの間を取り持つことを目的の一つとしてイランを訪問している最中に起きたことです。安倍首相のまさに目の前で日本関連の船が攻撃を受けたとなると、さまざまな思惑が生じます。

 もし仮に、この攻撃がイランによるものだとすれば、イランは、米国と親密な国の元首である安倍首相を人質のような形にして、米国に対し、これ以上制裁を強めたり継続したりした場合、(米国と)同盟国にさらに危害を加える、という非常に強い警告を発したともとれます。

 もしそうだとすれば、日本はイランの外交カードになった、そしてイランは、外交関係があった日本を外交カードにしなければならないくらい米国の制裁に苦しんでいる、と言えます。

   また、アジアの国家元首の訪問時に、アジア関連の船への攻撃が行われたことを考えれば、このような事件は今後も、中東から大量に石油を輸入する日本以外のアジア諸国にも起き得ることを示唆しています。

  そしてアジアだけでなく、ホルムズ海峡を経由して石油を購入するヨーロッパやオセアニアの国にも、同様のことが起きる可能性があることが明示されたと言えます。