「景気」と「契約形態」に注目

 住宅は、景気の上げ下げで家賃が変わるケースは他に比べるとかなり少ないです。例えば、2年ごとの契約更改のたびに家賃を変更している物件の話は、あまり聞きませんよね。

 でもこれは、一般人が賃貸で住む、「シングル」向けや「ファミリー」向けについての話。「ラージ」と呼ばれる、大きめで値段が高い住宅については、賃料はとても不安定なのです。

 リーマンショック後にその傾向が如実に表れたことを受け、住宅をポートフォリオに入れるJ-REIT各社は、なるべく「シングル」向けや「ファミリー」向けを組み込むようにしています。

参考:日本アコモデーション(3226)(住宅系のJ-REIT)の分配金の推移

日本アコモデーション決算説明資料より楽天証券作成

 次に、物流施設と商業施設は、その土地で事業を行う前提で契約するため、10年以上の長期契約になることが多く見られます。物流施設の方が商業施設よりも安定的になりやすいのは、引越し先が見つかりにくいことや、物流業の方が商業よりも景気に左右されにくいことなどが考えられます。ただし、物流施設は1件あたりの占有面積が最も大きい傾向にありますので、引越しなどで(一時的に)分配金が大幅に減る可能性もあることには注意が必要です。

参考:日本リテールファンド(8953)(商業施設系のJ-REIT)の分配金の推移

日本リテールファンド決算説明資料より楽天証券作成

参考:日本ロジスティクスファンド(8967)(物流施設系のJ-REIT)の分配金の推移

日本ロジスティクスファンド決算説明資料より楽天証券作成

 最後にオフィスですが、こちらは2年ごとに契約更改のケースがやや多い点では住宅と似ているのですが、景気に左右されやすい点が異なります。また、商業施設や物流施設よりも引越し先が見つかりやすいので、テナントの入れ替えも多くなります。このため、住宅、物流施設、商業施設よりも分配金の変動が大きくなる傾向にあります。

参考:日本ビルファンド(8951)(オフィス系のJ-REIT)の分配金の推移

日本ビルファンド決算説明資料より楽天証券作成

参考:ジャパンリアルエステイト(8952)(オフィス系のJ-REIT)の分配金の推移

ジャパンリアルエステイト決算説明資料より楽天証券作成