米景気減速で、米利下げ期待が高まる

 米景気の減速懸念が強まる中、6月4日(火)パウエルFRB議長が「景気拡大を維持するため、われわれは適切な行動を取る」と発言したことを受けて、米国金融市場で利下げ期待が高まりました。NYダウは利下げ期待を好感して上昇しました。

  実際、7日(金)に発表された5月の米雇用統計で、注目度の高い非農業部門の雇用者数は7万5,000人増(前月比)と、事前の市場予想(18万人増)を大幅に下回りました。景気好調と言われる20万人増も大きく下回っており、米景気に減速の兆しがあると見なされました。

米5月雇用統計:非農業部門雇用者増加数(前月比):2018年1月~19年5月

出所:米労働省

 米景気は足元、短期的に減速しつつあると考えられます。ただし、完全失業率は3.6%と約49年ぶりの低水準にあり、米景気は少々減速しても「堅調」には変わりないとの見方があります。

米5月雇用統計:完全失業率の推移:2014年1月~19年5月

出所:米労働省

 つまり、米景気は「利下げが期待できる程度に」減速しているが、「景気後退が不安視されるほど」悪化しているわけではないと考えられます。つまり、米国株にとって都合が良い「適温経済」にあると考えられます。