令和元年に日経平均をリードしそうな有望銘柄は?

 上述した想定に不透明要因や不確実性はありますが、6月下旬から7月のいったんの相場底入れと反発を視野にいれると、株式相場の反発をリードしそうな銘柄は「米中摩擦の激化や長期化を受けた業績鈍化懸念」を悪材料として織り込み下落した電気機器、精密、機械など「外需銘柄」が主役を担いそうです。

 ただ本稿では、中期的な観点で「貿易摩擦不安を乗り越え、日経平均やTOPIXより株価騰落率が著しく優勢となっている銘柄群」に注目したいと思います。図表4は、日経平均株価を構成する225銘柄をユニバース(母集団)とし、年初来騰落率の降順(上昇率の高い順)に並べた「ベスト20銘柄」の一覧です。

上位銘柄の特徴は以下のように分類できます。

(1)グローバル規模で進行する情報革命やAIoT・5G需要拡大に乗っている企業群
(2)独自の商品・サービスで競争力が高く安定成長期待が強い企業群
(3)構造改革や経営転換を経て業績が回復軌道を辿りつつある銘柄群

 換言すると、トランプ大統領が仕掛ける貿易摩擦を横目に、これら銘柄の株価は日経平均やTOPIXのリターン(年初来騰落率)を大きく凌いできたということです。短期的な景気や外需の変動(好・不調)観測だけでなく、中長期の視点に立った業績改善(成長持続やターンアラウンド)期待、バリュエーション面の割安感が見直されている銘柄と言えるでしょう。

 相場格言では、「ついていくのも相場(儲け)の道」( Trend is your friend=予想するよりトレンドについて行こう)があります。日経平均が反転する局面を想定するなら、「逆張り」だけでなく「順張り」的な視点も組み合わせ、複数の銘柄で投資に臨みたいと思います。

図表4:日経平均銘柄の年初来上昇率ベスト20社(参考情報)
日経平均構成銘柄の年初来上昇率ランキング

コード 銘柄名 直近株価 年初来
騰落率
1年前比
騰落率
本年度予想
PER
4568 第一三共 5,382.0 53.3 51.0 45.5
7733 オリンパス 1,293.0 53.2 37.7 25.7
4755 楽天 1,113.0 51.2 54.8 23.2
9984 ソフトバンクグループ 10,365.0 41.9 33.8 8.3
6098 リクルートホールディングス 3,519.0 32.2 19.8 31.7
6645 オムロン 5,270.0 31.8 -7.5 21.0
6501 日立製作所 3,707.0 26.3 -6.7 8.4
6976 太陽誘電 2,038.0 24.6 -15.5 9.7
6701 日本電気 4,035.0 23.6 34.3 15.4
4901 富士フイルムホールディングス 5,242.0 22.8 26.1 13.8
6971 京セラ 6,736.0 22.3 3.2 17.1
8035 東京エレクトロン 15,170.0 21.2 -25.9 14.5
7011 三菱重工業 4,791.0 21.1 17.5 14.4
6506 安川電機 3,250.0 20.5 -25.1 23.6
8303 新生銀行 1,564.0 19.5 -9.4 7.1
2432 ディー・エヌ・エー 2,178.0 18.8 3.7 33.0
9009 京成電鉄 4,085.0 18.8 11.3 17.4
8729 ソニーフィナンシャルホールデ 2,423.0 17.9 22.1 17.0
8802 三菱地所 2,031.0 17.4 4.2 20.7
6367 ダイキン工業 13,695.0 17.1 10.3 19.8
※単位 直近株価:円 年初来騰落率:% 1年前比騰落率:% 本年度予想PER:倍
上記は参考情報であり、特定の銘柄を推奨するものではありません。
*上記は日経平均を構成する225銘柄について年初来上昇率の降順に示した一覧です。
*本年度予想PER(株価収益率)は、Bloombergの集計による市場予想平均です。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(5月30日)
 


▼もっと読む!著者おすすめのバックナンバー

2019年5月24日: インド市場の優勢に注目! インド株式ETFや関連銘柄は?
2019年5月17日: 好利回りとポートフォリオ効果? REITが底堅い理由
2019年5月10日: ボラティリティ売り再来? 米中貿易摩擦の激化を警戒