不動産の重要ポイントは、とにかく「立地」

 次は、23区の外側になる「3極目」です。このエリアの特徴は、私鉄で通勤するサラリーマンが多いことです。もちろん、JRや東京メトロの駅もありますが、通勤のメインは私鉄になります。地下鉄と相互乗り入れをしている場合は別ですが、私鉄の弱点は山手線の輪の中に入っていけないことです。そのため、都心のオフィスに通勤する場合、乗り換えが必要になります。この乗り換えによって通勤時間は長くなってしまい、単身サラリーマンの賃貸ニーズを満たしきれないのです。通勤時間が長くなってしまうことで賃料は伸びず、より利便性の高い都心に引っ越されてしまうことで、入居者の回転が速いことも懸念材料になります。

 賃貸住宅は、基本的に各私鉄系列の不動産会社が開発した住宅地がメインなのでアパートもあり、バブル期に地価が上がったことにより、都心で分譲が難しくなったワンルームマンションも混在しているエリアです。バブル期のマンションは、お風呂とトイレが一緒の3点ユニットであるというデメリットを抱えますが、アパートはマンションに比べ防音性や断熱性で劣るため、入居者を確保しづらくなります。しかし、バブル期以降に建築されたマンションに、入居者確保の面で負けてしまうのも見逃せません。そして、この地域のマンションも近隣に競合のアパートが多いため、高い賃料を設定できないのもデメリットの1つです。23区とはいえ入居者のニーズを満たしきれていない点では、油断できない立地と言えます。

 23区の中心である都心3区(千代田区・港区・中央区)の周辺区で構成されているのが、「2極目」です。具体的には、「品川」「目黒」「渋谷」「新宿」「豊島」「文京」「台東」「荒川」「墨田」「江東」の各区になります。このエリアの特徴は、「山手線」「大江戸線」「東京メトロ」「都営地下鉄」が支える通勤利便性の高さです。単身の社会人は、通勤時間の目安を約30分に設定していることが多く、都心に通勤する利便性の高さを求めるなら、このエリアということになります。

 そして、この地域には、都心3区にはない「住みやすさ」があるのも特徴の1つ。通常、不動産には用途地域が決められており、建てられる建物が決まっているのです。都心に近づけば近づくほど、商業施設やオフィスを集積する商業地域の割合が増えてきます。

 一方で、住宅を建てるエリアである住居地域の割合は、減ってくるのです。そのため、住宅地に建てられることが多いアパートではなく、商業地域や準工業地域などを中心とした都市計画地域に建てられることの多いマンションが、賃貸住宅の主役になります。そして、利便性の高さから土地の確保も難しいので、供給が過剰になりにくい側面もあるのです。賃料相場は中心から放射状に広がっていきます。オフィス街に通勤しやすい立地というのは、マンション投資において重要な「価値」と言えるのです。

 最後に紹介するのが、「1極目」です。都心3区と呼ばれている「千代田区」「港区」「中央区」の3区で構成されています。このエリアは、日本の政治・経済の中心です。日本の中心から賃貸ニーズがなくなることは、考えられません。やはり、不動産において何よりも大事なポイントは、1に立地、2に立地、3に立地なのです。

(仲宗根 和徳/株式会社和不動産 代表取締役)

※この記事は2018年10月17日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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