19年1-3月期利益は予想上振れ、販売費などの低減が寄与

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント・ホールディングス)

株価 情報種類

 374.00HKD
(5/16現在)

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 テンセントの19年1-3月期決算は、売上高がBOCIの予想や市場コンセンサス予想を3%、4%下回った半面、純利益(非GAAP)は10%、5%の幅で上振れた。オンライン広告とフィンテック(IT金融サービス)ビジネスが売上高の下振れの原因となる一方、一部ドラマシリーズの放送遅延によるコンテンツ費用低下や販売費の抑制が利益押し上げの要因となった。BOCIはゲーム事業の成長見通しを反映させる形で、19-21年の利益見通しを微調整。目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 PCゲーム収入は『リーグ・オブ・レジェンド』の新スキン(キャラクターのルックス)投入や『アラド戦記』(DnF)の大型アップデートが寄与し、1-3月に前期比23%増。また、モバイルゲーム収入は『王者栄耀』(Honour of Kings)の1月のシーズンパス機能の追加や3月の『完美世界モバイル』の配信開始を受け、前期比12%の伸びを確保した。ただ、『完美世界モバイル』が時期的に遅くスタートしたことで、期中に計上された関連収入はゲーム総売り上げ(グロッシング)を下回る水準。収入計上額が前年同期比1%減少する半面、総売上高は10%増加した。一方、同社は5月7日、人気ゲーム『PUBG』(プレイヤーアンノウンズバトルグラウンズ)の試験配信を停止し、代わりに当局認可を得た『和平精英』(Peacekeeper Elite)を投入すると発表した。試験配信停止前のPUBGのMAU(月間アクティブ利用者)は約2億人。一方、『和平精英』のiOS売り上げは当初3日間で1,400万米ドル(9,600万元)に上った。

 オンライン広告事業ではメディア広告が1-3月に前年同期比5%増。「騰訊視頻(テンセントビデオ)」の広告収入が横ばいだった半面、インフィード広告が力強い伸びを示した。また、ソーシャル広告は34%増収。フィルレート(広告枠在庫に対する満稿の割合)や出稿量の伸びが寄与した。

 同社は1-3月期に、新たに「フィンテックおよびビジネスサービス」事業に関する情報開示を開始したが、うちフィンテックがカバーするのはオンライン決済やマイクロファイナンス、資産運用、保険など。ビジネスサービス業務はクラウドやその他企業向けサービスを指す。この部門の収入は前年同期比44%増の218億元で、売上構成比は25%。
・    1-3月の純利益率(非GAAP)は24.5%と、前期の23.2%から上向いたが、これは粗利益率が前期比5.2ポイント上昇し、販売費の対売上比率が前期比1.8ポイント低下したため。同期に配信を開始したゲームタイトル数の減少(8作品→1作品)やマーケティング活動の見直しが、販売費の相対的に抑制につながった。

 BOCIはPEGレシオ1.2倍に当たる同社目標株価(20年の予想PER30倍に相当)を据え置いた。19年、20年の予想EPS(非GAAP)を9.88元、12.11元に設定し、21年のEPS伸び率を前年比25.2%と予測している。