生き残った?「ほったらかし投資」

 近年、「ほったらかし投資(術)」について解説して欲しいという取材依頼が多い。「ほったらかし投資」とタイトルに冠したムック本なども作った。直接この単語をタイトルにしないまでも、雑誌などのお金の特集の運用部分について、「『ほったらかし投資術』で説明していたような投資法を分かりやすく教えて欲しい」といった依頼が来ることもある。

 商標登録しているわけでもないし、自分達がオリジナルであることを主張したいわけでもないのだが、「ほったらかし投資術」という言葉の出所は、投資ブログ梅屋敷商店街のランダムウォーカーの管理人水瀨ケンイチ氏と筆者が共著で書いたほったらかし投資術(朝日新書)という新書本の書名に由来するように思う。近年、共著者の水瀨氏も単著でお金は寝かせて増やしなさい(フォレスト出版) といった投資の本を書かれているし、「ほったらかし投資」に関する取材を受けることがあるようだ。

 久しぶりに「ほったらかし投資術」の本を手に取ってみたら、出版年月が2010年12月とあり、今年は2019年なので、まだ「10年目」と言い切るには気が早いが、この本を執筆していた時期から早くも10年目に近づいていることに気がついた。

 ちなみに「ほったらかし投資術」という書名の名付け親は、この本の担当編集者だった友澤和子氏だが、当時、筆者はこの書名にあまり賛成ではなかったことを白状しておこう。記憶をたどると、もう少し堅い印象の書名がいいと思っていたようなのだが、振り返ってみて改めて自分のタイトル・センスの乏しさに気づかざるを得ない。

 パラパラと読み返して見ると、内容は意外なくらい「堅い」し「詳しい」。インデックス投資に詳しい投資家の期待に応えようとして書いたことが思い出されるのだが、この内容で堅いタイトルを付けたら、この本はあまり売れなかったのではないか。