各国の人口動態を見てみよう

 世界全体と先進国、新興国の人口動態を具体的に確認します。いろいろな角度から見ることができますが、今回は労働人口の動きを見ることにします。

 以下は、先進国と新興国の労働人口(15歳から64歳までの人口)を10年単位で、過去の実績から未来の推計までを表示したもので、10年毎の伸び率も表示しています。

 世界全体は、2050年まで、10年毎に労働人口が増えていきます。しかし、新興国は、プラスで伸び続ける一方、先進国は、2020年以降は減っていきます。GDPを成長させるには、労働人口は増え続けたほうがいいので、先進国は、新興国に比べ、経済成長の面で不利と言えます。

出所:国連データ(2017年)から楽天証券作成

  次に、先進国各国の状況を見てみましょう。

 日本やドイツ、フランス、イタリアは、先行き労働人口が減っていきますが、米国、カナダ、オーストラリアは労働人口が増え続けます。先進国全体では、前述のとおり、労働人口は減っていきますが、国によって増える国もあれば、減る国もあります。

出所:国連データ(2017年)から楽天証券作成
出所:国連データ(2017年)から楽天証券作成

 最後に、新興国を見てみましょう。

 中国、ロシアの労働人口が今後どんどん減る一方、インド、南アフリカは増え続けます。新興国全体では、労働人口は増え続けるものの、国によっては、減り続ける国もあるのです。

出所:国連データ(2017年)から楽天証券作成

 このように、先進国も新興国も労働人口の状況は国により異なります。ただ筆者がこの表を見た印象では、移民などで人が流入しやすい国のほうが労働人口は増えやすい予想になっていると感じます。あくまで、2017年時点の国連の予想数字ですが、先進国では、移民大国である米国、カナダ、オーストラリアの労働人口の伸びが顕著で、新興国でも、インド、南アフリカのように国外に民主化が進み、外国から人が入ってきているやすい国の労働人口が伸びるという推計になっています。

 株価が上がる条件は、人口動態のみではありませんが、長期的に見て、株価の裏付けとなる経済成長についていえば、労働人口が増えていく国に比べ、減っていく国が不利なことは否めません。みなさんも長期投資を考えるときには、人口動態の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。