今週の予想

トランプ大統領の制裁「第4弾」の発表を受け、軟調な展開へ

 トランプ米大統領が中国に対して関税を10%→25%に引き上げを表明した5月5日以降、日米ともに株式市場は急落しました。

 さらにトランプ大統領は政策関税の対象を、中国の全輸入品に広げる「第4弾」の手続きに入ると発表。中国政府も13日、報復関税を表明。このまま米中通商協議が合意に向かうとは考えにくい状況となっています。米中ともに貿易戦争に対しては「一歩も引かない」というコメントを出しており、両政府は互いに相手を中傷する声明を出し合っています。

 先週末にNYダウは大幅反発して終わったものの、トランプ大統領が中国に対する制裁「第4弾」を発表したことで、米中貿易摩擦の激化懸念が高まり、13日は時間外での米株価先物が下落。

 13日の日経平均株価は▲164円の2万1,180円で寄り付き、一時▲216円の2万1,127円まで下落しましたが、後場の序盤にかけて下げ渋りを見せる動きとなりました。

ところが、午後2時発表の3月景気動向指数で、基調判断が6年2カ月ぶりの「悪化」となったことが相場の重しとなり、大引けにかけて▲153円の2万1,191円と、2万1,200円を割って引けました。

 トランプ大統領が制裁「第4弾」を発表したことは、矢継早に制裁措置を繰り出して、中国に構造改革を迫る狙いがあると言えます。根底は国家システムを巡る対立であり、長期化すれば今年の株価回復の期待の素である年後半の景気回復シナリオが揺らぎ、上値を買い上がる材料が乏しく、厳しい相場環境になることが想定されます。

 米国が制裁関税を発動したきっかけは、中国が突然、これまでの米中通商協議の合意文書を修正したことですが、理由として来年2020年の米国大統領選挙まで書面での合意を避け、中国寄りの民主党政権の誕生を待つという作戦だという見方が出ています。トランプ大統領はこれを阻止するため、強引な行動に出て中国に圧力を加えているのかもしれません。

 これが背景だとすれば、今週の株式市場にはリバウンドはなく、相場の勢いは強いものにはならない可能性があります。

 トランプ大統領と習近平主席の闘いで米中貿易摩擦が長期化すれば、株式市場は方向感のない動きの中で、徐々に下値を切り下げ、どこかで悪材料を織り込んで大きく下げて底打ちとなり、そこから新たな上昇がスタートするというシナリオが考えられます。
ということは株式投資にとっては、大きく下げるまで待つことが基本となります。リスクを取る人は、好業績銘柄が下がったところを短期のリバウンドで勝負するということになるでしょう。