4月9日に新しい紙幣と500円硬貨の発行が公表されました。新元号発表の翌週というタイミングにしても、紙幣の肖像にしても意表を突かれた方が多かったのではないでしょうか。今回は紙幣を巡るトリビアと、あるシナリオについて述べたいと思います。

「改刷」のタイミングは決まっている?

 日本銀行券(紙幣)のデザインを変更して、新しい紙幣を発行することを「改刷」と言います。印刷する紙幣を改めるという意味です。新聞などでは紙幣刷新という表記が多く、日本銀行の公表資料では改刷のほかに改札(お札を改める)が使われることもあります。一般には改刷という単語は定着していませんが、ここでは折角の紙幣の話なので、「改刷」を用いたいと思います。

 改刷は約20年に一度のペースで行われています。1984年11月1日に1万円札・福沢諭吉、5,000円札・新渡戸稲造、1,000円札・夏目漱石が発行され、2004年11月1日に1万円札・福沢諭吉、5,000円札・樋口一葉、1,000円札・野口英世の紙幣が発行されました。

 日本銀行は紙幣を発行していますが、デザインを決めるのは財務大臣、紙幣の印刷や原版の製造は独立行政法人国立印刷局が担っています。日本銀行は国立印刷局から紙幣を物として購入し(1枚20円程度のようです)、それを現金(銀行券)として紙幣の額面で発行しています。

紙幣刷新:タンス預金=旧札廃止の経済効果は数兆円!日銀、政府にメリット大?