(1)乗り物のシェア

 タクシー系企業がIT系企業等と提携し、配車サービスを強化する動きを強めています。Japan Taxi(非上場)は、KDDI(9433)トヨタ自動車(7203)等と提携して、人工知能を活用した配車支援システムを試験導入しています。

 一方、第一交通産業(9035)は、ソフトバンクグループ(9984)が出資する米配車サービス企業、ウーバー・テクノロジーズと提携しました。また、中国の配車サービス企業、滴滴出行(ディディチューシン)とは、訪日中国人が使っているアプリからタクシーを呼べるサービス等を一部地域で始めています。

 レンタカー系企業では、先述したパーク24(4666)を筆頭に、保有する車両を活かしたカーシェアリングサービスを展開しています。カーシェアリングサービスは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する利用形態を指し、最寄りのカーステーションで好きな時間に自動車を利用できる点に特徴があります。 

(2)スペースのシェア

 民泊新法の発効や2020年の東京オリンピックが後押しになり、大企業が積極的に民泊ビジネスに参入しています。楽天(4755)LIFUL(2120)と共同出資、その子会社が米旅行サイトのエクスペディアと提携、リクルートHD(6098)は米民泊サービスのエアビーアンドビーと提携しました。ニトリ(9843)も宿泊事業に参入しています。

(3)モノのシェア

 非上場のエアークローゼットは、衣類のシェアサービスを展開しています。ラクスル(4384)はシェアリングエコノミーの代表的な銘柄で、印刷機のシェアサービスを展開しています。同社が主体となって印刷機を持つ多数の業者と提携し、空いている印刷機を活用することにより、割安な単価で印刷サービスを提供しています。

(4)人のシェア

 個人のスキルと、そのスキルが必要な人をマッチングさせる仕組みをクラウドソーシングと言いますが、それを柱に事業を展開している企業としてクラウドワークス(3900)が挙げられます。同社プラットフォームでは、200種類以上の仕事のマッチングが可能です。

(5)カネのシェア

 サイバーエージェント(4751)がクラウドファンディングを、GMOフィナンシャルHD(7177)傘下のGMOクリック証券が貸付型クラウドファンディングを展開しています。

 

 以上のように様々な企業がシェアリングサービスを展開していますが、現時点では、以下3点のポイントから、乗り物のシェアに特に注目しています。その中でも、シェアリングサービスの業績に与える影響が大きいパーク24が有望銘柄と考えています。

  1. 潜在需要の高さ
    訪日観光客の需要のみならず、節約意識や高齢化を背景にした長期的な需要の拡大が見込める。
  2. 参入障壁の高さ
    日本では自家用車によるライドシェアが法律で禁止されているため、既に多くの自動車を抱える企業が有利な立場に立てる。
  3. 技術的発展による効率化
    ユーザーの走行履歴から需要予測を立てることにより、将来的にはより効率的なサービス提供に期待が持てる。