安定収入となる「インカムゲイン」で不安を回避

 資産運用の収益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2種類があります。「キャピタルゲイン」は、「土地や有価証券など保有資産の値上がりによる利益」のことです。一方で、「インカムゲイン」は、「金融資産を一定期間運用したときに発生する利子所得」のことで、不動産を貸すことによって得られる家賃収入もここに該当します。「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」では、「キャピタルゲインは、購入時の資産価格と売却時の資産価格との差益であり、景気の変動により大きなリスクを伴う」一方、「インカムゲインは、景気変動に関係なく、ほぼ確実に獲得することができる収入である」という違いがあるのです。

 老後に向けての資産運用は、毎月の安定収入を確保することが目的ですから、「キャピタルゲイン」を狙うより、安定収入を得る「インカムゲイン」の仕組みを定年までに作り上げることが、必要なことではないでしょうか。

 老後の生活費は、貯金だけでは解決できません。なぜなら、貯金が減る不安に何十年も耐えきれる人は少ないからです。生命保険文化センターの調べ(図表3)によると、老後の生活に「不安感あり」と回答している人は、全体の85.7%もいます。つまり、日本人の約85%は、老後不安を解消する術を理解していません。まずは、不安を解消する術を、理解することが必要です。

[図表3]老後生活に対する不安の有無

※出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/平成28年度

 そこで参考にしていただきたいデータがあります。私が代表を務めます和不動産が、ポータルサイト「CMサイト」の60歳以上の世帯の会員様を対象にしたアンケート(図表4)によりますと、「年金の他にいくらくらい収入があれば、ゆとりある生活ができますか?」という問いに対して、「10~20万円」と回答した方が多くいらっしゃいました。つまり、年金プラス「10~20万円」程度の金額が安定的に入れば、老後を安心して過ごすことができるようになります。

[図表4]実際にいくらくらいあれば生活できるのか

※和不動産が60歳以上の世帯に対し実施した生活に関するアンケートより

 もちろん、この金額は人によって異なるため、自分の必要な金額を「インカムゲイン」により補てんしていくことが重要です。その「インカムゲイン」を得る方法として一般的な運用が、アパート経営やマンション投資などに代表される「大家業」になります。身近にいる老後に無理のない生活を送っている大家さんこそが、私たちが目指すべき見本なのかもしれません。

(仲宗根 和徳/株式会社和不動産 代表取締役)

※この記事は2018年9月19日に幻冬舎ゴールドオンラインサイトで公開されたものです。

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