配当貴族指数をけん引する主力銘柄は?

 米・配当貴族指数の主要銘柄(時価総額上位10銘柄)を参考情報として図表5に一覧しました。長期連続増配銘柄には、ブランド名がよく知られた安定成長セクター(業種)に属する銘柄が多いことが分かります。
 特に、ジョンソン・エンド・ジョンション(JNJ)、プロクター&ギャンブル(PG)、コカ・コーラ(KO)、ペプシコーラ(PEP)、マクドナルド(MCD)など「40年以上連続して配当を増やし続けてきた銘柄群」には身近で著名な安定成長企業が目立ちます。
 将来の利益成長に備えて投資(設備投資支出や研究開発支出)を優先する傾向があるIT(ハイテク)銘柄と異なり、景気の好調・不調から比較的影響を受けにくいビジネス上の特徴があります。
 政治経済を巡る不透明感が依然根強く、金利の低位安定観測が広まるなか、いかなる経済環境でも配当を増やし続けてきた実績は、注目されやすいと考えています。

図表5: 米・配当貴族指数の上位構成銘柄

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019年3月27日)

 なお、最近は日本市場でも「株主を意識する経営」が問われ始めており、こうした連続増配銘柄への物色が徐々に強まっていくと思います。とは言っても、日本で「配当貴族」(25年以上連続して増配してきた)の名に値する銘柄は、連続増配が29年に及ぶ花王(4452)しかありません(2019年3月現在)。花王は、2019年度(2020年3月期)も増配すると「30年(期)連続増配」の金字塔を打ち立てることになります。

 花王も、日用品大手として中国やアジアでシェアを拡大中で、内外景気のサイクルや為替動向から比較的影響を受けにくいディフェンシブ(安定成長業種)銘柄であることが知られています。実際、花王の1年前比騰落率は+13%とTOPIX(同-7%)より優勢となっています(3月27日)。

 株式投資の原点である「配当の安定と長期にわたる増配」が期待できる銘柄への分散投資に注目したいと思います。
 

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