配当貴族の総収益指数が最高値を更新
世界の景況感鈍化に伴う欧米金融当局の金融政策変更を反映し、主要先進国の債券利回り(市場金利)は低下しています。こうしたなか、米国市場では「配当貴族指数(S&P500 Dividend Aristocrats Index)」の戻りと総収益の長期的な優勢に注目したいと思います。図表3は、過去1年(2018年4月初を100とした場合)の米・配当貴族指数と日本株式(TOPIX)の総収益指数(配当込みリターン)の推移を比較したものです。
米・配当貴族指数とは、「S&P500指数構成銘柄のうち25年以上連続して増配してきた銘柄群」(現在は57銘柄)で構成されています。米・配当貴族指数の総収益指数は先週(3月21日)最高値を更新し、TOPIXとの過去1年におけるトータルリターンの差は約16%となりました。景気の停滞、貿易戦争や中国の景気減速など不透明感が多いなか、「長期にわたり毎年配当を増やし続けてきた実績」が市場で評価されていることを示しています。
図表4で、今世紀以降の長期トータルリターン(2000年初を100とした総収益指数)で比較しても、米・配当貴族指数が日米の株式市場平均(TOPIXやS&P500指数)を大きく上回ってきたことが分かります。
市場は今後も毎年(毎期)配当を切れ目なく増やし続ける企業を「株主を重視した経営を実践する企業」と評価していくと考えられます。換言すれば、米・配当貴族銘柄は、「かつての景気停滞局面でも連続増配を維持してきた長期経営実績」への信頼感に支えられているとも言えそうです。