配当金よりはるかに大きな損失を抱え込まないようにしよう

 ですから、配当金の権利落ち日が近づいた段階で、配当金のみを目的として株を買うのは意外とリスクもある、ということは理解してください。

 そしてもっと怖いのが、「配当金以上に株価が値下がりしたから、しばらく持っていよう」とした場合です。

 株を持ち続けた結果、株価下落が止まらず、結局は多額の含み損を抱えて売るに売れずに塩漬け・・・となってしまう個人投資家がとても多いのです。筆者が個人投資家の方に常々お伝えしているのが、「株価が想定外の動きをしたことにより、株を買った当初の目的を捻じ曲げないようにしてください」という点です。

 典型的な例が、短期売買で利ザヤ(売買で得た利益)を稼ごうと思ったが株価が下落してしまったので長期投資に(消極的に)切り替えた、という場合です。その結果、値下がりが続いて塩漬け株になってしまうことがとても多いです。短期売買が当初の目的なのですから、株価下落で損失となっても、短期間で決済して取引を終わらせなければいけません。

 配当金目的の投資もこれと同じことが言えます。権利落ち日の直前に株を買い、権利落ち日に売って配当金を手に入れようという考え方、これ自体は筆者も別に否定はしません。

 でも、権利落ち日に売ろうと思ったが株価が配当金以上に下落したので売るのをやめ、値下がりが配当金の範囲内、つまりトータルでプラスマイナスゼロになるまで待とう、という考え方は危険です。

 

最悪のケースに陥らないためには、当初の目的を貫徹すること

最悪のケースは、

・権利落ち日に株価が大きく値下がりしたので売らずに保有

・決算発表があまりよくない内容で、配当金も当初予定から減額

・それを受けて株価が大きく下落、含み損拡大で塩漬け株に

 といった経過をたどります。

 

 配当金はあくまでも現時点での予想ですから、実際に支払われる額と異なる場合は当然あります。大赤字の決算で、無配に修正することもあります。

 配当金目的で短期的な売買をしようと決めたら、その結果が思わしくないものであっても当初の目的を貫徹すべきです。損失が生じたならそれは受け入れるべきですし、それができずにズルズルと株を保有し続けて「延長戦」を展開すれば、さらに大きな損失を被ってしまう危険性があるからです。

 投資スタイル、投資手法は色々あってよいと思います。でも、大きな損失を被る恐れがある行動は、くれぐれも避けるようにしてくださいね。