<今日のキーワード>
3月5日から開催された中国の全国人民代表大会(『全人代』)が15日、閉幕しました。『全人代』では、2019年の経済成長率目標が前年の「6.5%前後」から「6.0~6.5%」に引き下げられました。また、大規模な減税やインフラ投資の促進などの景気下支え策も承認されました。このほか、米国に配慮し、中国でビジネスを展開する外国企業の技術を強制的に移転させることを禁じる「外商投資法」も承認されました。
【ポイント1】2019年の成長率目標を6.0~6.5%に設定
財政政策は見かけより景気支援的な内容
3月5日から開催された中国の『全人代』は、最終日の15日、北京で約3,000人が参加して、8つの議案を採決し、閉幕しました。2019年の経済成長率の目標は、前年の「6.5%前後」から引き下げられて、「6.0~6.5%」が採択されました。また、大規模な減税やインフラ投資の促進などの景気下支え策などを含んだ、今年の予算案も承認されました。
今年の予算は、財政赤字のGDP比が前年から0.2ポイント引き上げられ、2.8%に設定されました。ただし、特別基金からの繰り入れを除くと4.3%へ拡大する計算になり、見かけ以上に積極的な財政政策で、景気支援的な内容と考えられます。
【ポイント2】「外商投資法」も承認
米国の批判に配慮
『全人代』では、中国でビジネスを展開する外国企業の技術を強制的に中国側に移転させることを禁じる「外商投資法」も承認されました。
「外商投資法」は、米国が問題視している、外国企業の知的財産保護への批判を意識して、制定されたとみられます。貿易摩擦をめぐり、現在交渉中の米国に配慮した形で、中国側はこれにより米中協議の合意を期待している模様です。
【今後の展開】中国政府の景気下支え策で景気は年後半持ち直しへ
李克強首相は『全人代』閉幕後の記者会見で、「成長率目標を適度に下げて幅を持たせたのは、景気を合理的な範囲から逸脱させない意思の表れ」として、減速が鮮明となっている中国経済を下支えする方針を強調しました。
2019年前半は米中貿易紛争による輸出減少などから中国経済の減速が続くと見込まれますが、『全人代』で承認された大規模な減税やインフラ投資の促進などの景気下支え策により、年後半には景気が緩やかに持ち直すとみられます。