18年本決算は2桁増収増益、「粤港澳大湾区」の主要恩恵銘柄に

現地コード 銘柄名
00123

越秀地産

(ユエシュウチサン)

株価 情報種類

 1.64HKD
(2/28現在)

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 越秀地産の18年12月通期の売上高は前年比11.1%増の264億元と、BOCIの予想通りの水準に達した。コア純利益は同15.5%増。少数株主(非支配株主)持ち分の増加で最終利益がやや目減りしたものの、粗利益率が前年の25.7%から31.8%に改善したことが増益決算に寄与した。ただ、BOCIは19年以降、粗利益率が25-30%の水準に落ち着くとみている。一方、期末の純負債比率は前年同期より11.6ポイント低い61%と、予想以上に大きく改善し、バランスシートの健全さを印象づけた。BOCIはまた、連結決算の未計上収入が484億元に上る点に目を向け、これが今後数年にわたって利益成長を支えるとの見方。さらに、中国政府主導の「粤港澳大湾区」計画(広東省・香港・マカオの経済一体化計画:グレーターベイエリア)の代表的な恩恵銘柄として同社を前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 同社の保有用地(1,941万平米)の48%に当たる942万平米相当は、「粤港澳大湾区」のエリア内に位置する。また、19年の分譲対象物件の58%が同エリア内。こうした数字を見ると、「大湾区」計画の代表的な恩恵銘柄の一つであることが伺える。経営陣によれば、広東省広州市の周辺地域では今後、交通インフラの整備が進み、これが同市一帯に位置するプロジェクトの価値向上につながる見通しという。同社は特に、広州市南沙地区において最大級の土地オーナーとなっている。

 一方、19年通期の物件成約目標は前年比18%増の680億元。現在の市況を考慮し、かなり控えめな水準に設定した。ただ、経営陣は「仮に地方政府による締め付け緩和や不動産市況の回復が実現した場合には、目標超えも可能」との見方だ。19年の分譲対象物件は総額1,312億元規模。通期目標は販売率にして52%相当となる。

 財務状況や資金力は引き続き強固であり、18年期末の純負債比率は61%と、前年の73%から改善した。また、平均借入コストは4.82%と0.52ポイント上昇したものの、依然として低水準。1年以内に返済期限を迎える債務は全体のわずか11%となっている。また、国内の資金調達環境が厳しさを増しているという経営陣の認識の下、人民元建て債務の割合は18年に64%と、前年の77%から低下した。

 BOCIは少数株主持ち分の増加を反映させる形で、19年、20年の予想EPSをそれぞれ3.7%、5.6%下方修正しながらも、純負債比率の低下による恩恵を加味し、1株当たり予想NAV(純資産価値)を3.48HKドルに据え置いた。現在株価の19年予想PBR(株価純資産倍率)は0.5倍の水準にあり、対NAVのディスカウント率は53%。19年の予想配当利回りは7.5倍。こうした点から値ごろ感を指摘し、株価の先行きに強気見通しを継続した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中央政府によるトップダウン式の不動産引き締め緩和が期待薄である点を指摘した。