本日の注目通貨

ドル/円:110円前半から反発も、111円には届かず

 金曜日のNY市場は、米中貿易協議の進展期待からダウ平均株価が大幅に上昇。終値は前日比440ドルを超え3カ月ぶりの高値を記録しました。

 ドル/円はこの日は売りが優勢で欧州時間に110.24円まで下げましたが、NY時間になって110.65円まで回復。NY株に比べると小幅な反発にとどまりました。110円台はしっかりでしたが111円台に戻せなかったことは、上値の重さを感じさせました。終値は110.45円。

 3月1日に米中貿易交渉の期限が迫るなか、関係者からは合意を期待させる発言が相次いでいます。トランプ大統領は、合意なら関税を「撤廃してもいい」とまで言いました。期限の延長とか関税10%据え置きではなく、追加関税をなくすというのですが、これがかえってマーケットの期待を上げすぎてしまったようです。追加関税ゼロリセットが成否の基準になってしまうと、小ぶりな結果に終わったときの失望が大きくなるリスクがあります。

 ドル/円の次のターゲットは111.50円。トレンドライン的にも重要レベルにさしかかっていて、100日移動平均(111.65円)、200日移動平均(111.27円)がすぐ上を走っていてます。109.50円を下に抜けると今回のドル上げはいったん中止、その下は108.50。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 

ユーロ/ドル:昨年の安値レベルに迫る。欧州経済見通し不安で

 ユーロ/ドルは2018年の安値圏でもみあい。欧州時間に1.1234ドルまで下げて、2018年の安値(1.1216ドル)ドルに迫りましたがNY時間には反発して一時1.13ドル台に戻しました。終値は1.1293ドル。

 ミシガン大学の調査によると、FRB(米連邦準備制度理事会)が年内に1回利上げすると考える人は63%もいます。一方ECB(欧州中央銀行)では、TLTRO(ティーエルトロ:目的型長期流動性オペ)の再導入論議が持ち上がっていて、早ければ3月にも再開の見込み。TLTROとは貸出先を絞った長期資金供給オペのことで、ECBの主要な金融緩和策のひとつ。格付け会社フィッチは、ECBは年内に量的緩和再開に追い込まれるとの予想を発表するなど、米国よりも欧州が心配だということで、ユーロが売られています。

 TLTROは緩和政策のなかでも利下げなどに比べたら、ユーロに対するダメージは少ないといわれています。

 ECBは金融正常化と同時並行でTLTROを導入することもできるわけで、その場合はユーロのプラス材料になるかもしれません。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成