2月4日~8日 原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は反落。特段目新しい材料を欠くなか、ドル高を背景に売り優勢となった。また、前の週に約2ヶ月ぶりの高値を付けた後ということもあり、上げ一服感から利益確定の売りに押された。

 需給要因はブルベアまちまち。石油輸出国機構(OPEC)加盟国およびロシアを含む非加盟国による協調減産が1月から実施されているなか、米政府によるベネズエラの石油部門の制裁により先行きの需給に対する警戒感が下値を支えている。欧州連合(EU)も対ベネズエラ制裁を検討しており、OPEC加盟国でもあるベネズエラからの供給減がOPECらの協調減産の奏功期待を高めている。一方、同じくOPEC加盟国であるリビアにおいては、主要油田の再開見通しが高まっている。日量30万バレル以上の生産量があるシャララ油田は、昨年12月8日から武装勢力らにより閉鎖されていた。しかし、元軍将校のハフタル氏が率いる民兵組織リビア国民軍(LNA)が2月6日にその武装勢力を制圧、これにより油田再開への期待が広がった。OPEC関連の産油国の動向は強弱まちまちの内容となったため、これらの材料は明確なトレンドを導くに至っていないのが現状。

 米国の需給動向も目立った変動はない。前の週に米北部から東部にかけて記録的な寒波に見舞われ、暖房油を含むディスティレート在庫が減少したことは相場にとってプラス要因となったが、原油在庫に対する見方は強弱分かれた。原油在庫は増加したが100万バレル強とさほど大きくはなかった。事前予想ほどは増えなかったため市場は買いに反応したが、一時的な動きにとどまった。また、ガソリン在庫においても、増えたけれども予想には至らずといった内容で、これらを手掛かりに積極的に商いを仕掛ける動きは見られなかった。

 需給面での手掛かりが乏しいなか、外為市場でドルが対ユーロで上昇したため、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、これが売りにつながった。前の週に発表された雇用統計の内容が明るかった一方、欧州の経済指標は概ね軟調なことから、ドル買い/ユーロ売りの流れとなっていた。さらに米中通商協議の行方に対して悲観的な見方が強まったことで、その動きはより強まっている。通商協議の期限である3月1日までに、トランプ米大統領は習近平国家主席と会談する計画がない意向を示した。これを受け、休戦期間中に合意に至らないとの見方が広がり、リスクオフの流れが強まった格好。安全資産としてのドル買いが進み、これにより原油の下方圧力は増した。

 ドル高を背景に軟調ムードとなると、直近に約2ヶ月ぶりの高値を付けたこともあって、買い方が一旦持ち高を軽くする動きが強まった。心理的な節目である55ドルを上抜いたが、明確に上放れず、買い方の慎重姿勢が窺える。目立った踏みもなく、上げきれずに下げに転じたことで、ポジションを整理する動きに押された。再び直近の揉み合いレンジに収束したことで、売り方、買い方ともに仕掛け難い状況にある。