そこで、再び話を日足に戻してみます(下の図3)。

■(図3)日経平均(日足)のHLバンド(2019年2月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 図3のチャートはHLバンドです。HLバンドとは過去一定期間内の高値と安値の推移を示していますが、ここでは25日間で設定しています。

 先週末8日(金)時点の株価水準では、上値余地よりも下値余地の方が大きくなっているため、このまま株価が下げてしまいそうな雰囲気を醸し出していますが、今週の取引からは過去25日間の安値が1月7日の1万9,920円になり、Lバンドの線が切り上がります。Lバンドがサポートとなるのであれば、図3が示すほどの下げ余地はないのかもしれません。

 とはいえ、そのLバンドを下抜けてしまった場合には、下げが加速する可能性があるため、注意すべきは2万円の節目よりもLバンドの方なのかもしれません。

 一方、反対側にあるHバンドの方も先週5日(火)の高値2万981円がしばらく続きそうなため、上値余地もあまり大きくない状況と言えます。よって、今週はもみ合いながら株価水準を維持できるかが焦点になるというのがメインシナリオ、株価下振れの展開がサブシナリオになりそうです。

 このような相場環境では、日々の株価が上げ下げを繰り返し、トレンドもつかみにくい事が多く、「目先の反発を狙おう」と思っても、言うほど簡単でないもどかしさもあります。

 そこで、短期的な戻りを期待する買いを入れるタイミングを計るための参考指標として、「ウィリアムズ%R」と言うのを紹介します(下の図4)。

■(図4)日経平均(日足)とウィリアムズ%R(2019年2月8日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

 ウィリアムズ%Rのウィリアムズは、著名トレーダのラリー・ウィリアムズ氏を指し、同氏が考案したオシレーター系のテクニカル指標です。一定期間の最高値と最安値からなる価格変動幅の中で、直近の終値が相対的にどのレベルにあるのかを示し、値の範囲は0%〜▲100%となっています。

 一般的に、オシレーター系のテクニカル指標は「○%以上で買われ過ぎ、○%以下で売られ過ぎ」といった具合に、一定の水準を超えると相場の行き過ぎを示すため、逆張りに使われる事が多いです。実際に、先週末8日(金)のウィリアムズ%Rの値を見ると、▲97.32%となっており、下限の▲100%に近いところに位置しています。つまり、売られ過ぎを示しています。

 ただし、オシレーター系のテクニカル指標には、「トレンドが継続すると役に立たない」という弱点があり、上の図4を見ても、トレンドが発生している際のウィリアムズ%Rの値が上限もしくは下限付近で張り付く場面があります。そのため、足元の相場が下げ基調を続けてしまうと、値が下限付近で推移する可能性があり、売られ過ぎだからといって素直に買いサインと判断できません。

 現時点でのウィリアムズ% Rは使えない指標なのですが、実は、この張り付いたもみ合いに注目し、「直近の戻り高値や安値を超えたところを狙う」という手法があり、意外と反発や反落局面を捉える事ができます。

 今後、ウィリアムズ%Rが下限付近でもみ合いとなった場合には、戻りを狙うポイントとして注目すると良いかもしれません。以前にも紹介した、「平均足とMACD」の組み合わせでトレンド転換を捉える手法と合わせて利用すると、短期的な相場の動きについて行くヒントになりそうです。