18年通期は1%小幅増益、基準厳格化による引当金増大が利益を圧迫

現地コード 銘柄名
01988

中国民生銀行

(チャイナ・ミンシェン・バンク)

株価 情報種類

 5.92HKD
(1/31現在)

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 中国民生銀行の18年12月本決算の純利益(速報値)は前年比1.03%増の503億元と、BOCIの予想を5%下回った。主に引当金の増大によるもので、引当前業務純益は予想を上回った可能性が高いという。同行は顧客基盤の相対的な弱さから、今後は新たな資産の劣化サイクルに直面する可能性があり、小規模企業・零細企業向けビジネスをめぐる競争激化も影響する見込み。その一方、BOCIは銀行間債務の圧縮や不良債権リスクへの対処を理由に、潜在的な下降圧力は従来に比べて軽減したとの見方。目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 売上高に当たる経常収益は18年通期に前年比8.65%増と、1-9月期から0.27ポイント減速したものの、BOCIの予想を2.5%上回った。一方、予想以上の引当金の増大により、経常費用は予想を10.6%超える数字となった。引当金が膨らんだのは主に、不良債権基準の厳格化と、より保守的な引当方針によるもの。この要因を除く通期の引当前業務純益について、BOCIは約9.8%増加したと推計。1-9月期から1.0ポイント減速しつつも、預金準備率の引き下げや銀行間債務の圧縮が寄与し、自社予想を約2.9%上回ったとみている。このほか、18年の平均ROE(株主資本利益率)は12.94%と、前年を1.09ポイント下回る水準だった。

 総資産は10-12月期に前期比0.5%増。主に貸し出しの伸びを受け、7-9月期の同1.6%の縮小から小幅ながら増加に転じた。

 不良債権指標を見ると、18年期末の不良債権比率は1.76%と、前期比0.01ポイント上昇した。BOCIの推計では、正味の不良債権発生率は約1.5%。不良債権基準の厳格化などが影響し、前年比で0.3ポイント上昇した。18年下期には、「3カ月超の延滞債権」の対不良債権比率が6月末の129.9%から大きく低下した可能性が高いという。また、不良債権引当カバー率は9月末の161.7%から、12月末には約170%に上昇したとみられている。

 BOCIは信用コストに関する想定値の引き上げに伴い、19年、20年の予想EPSをそれぞれ2.8%、1.5%下方修正した。ただ、同社H株の18年、19年予想PBR(株価純資産倍率)は、現時点でそれぞれ0.54倍、0.49倍。現在株価の低バリュエーションや市場の流動性の改善、バランスシートの縮小圧力の低減、資産の質が従来比で安定したことなどを理由に、目標株価を維持し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中国不動産市場の破綻、国内経済の失速などの可能性を挙げている。