ポンド/円:ブレグジット最新事情。ポンド安見通し強まるか

 この日は、英議会で、EU(欧州連合)離脱協定の修正案の採決が行われました。その結果2つの修正案が可決されましが、マーケットが期待していた離脱延期案については否決されました。

 ポンド/円は、今週初めからノーディール・ブレグジット回避という楽観論に包まれて140円台半ばから144.84円まで4円近くもポンド高に動いていましたが、離脱延期が却下されて142.73円まで急落。ポンド/ドルも1.32ドルから1.3054ドルまで大きく下げました。(チャート2,3)

 3月末までに離脱協定案がまとまらなければ、ノーディール・ブレグジット(合意なき離脱)になる可能性がまたもや浮上したわけです。ただメイ首相はこの「ノーディールのリスク」を武器に反対派に妥協を迫っていたわけで、メイ政権側にとってはよかったことになります。

 結局、アイルランドのバックストップ問題についてEUと再交渉するという修正案が可決されました。メイ首相にとっては時間稼ぎができましたが、EU側は交渉に否定的。もうひとつ、「ノーディール・ブレグジットには議会の承認が必要」という修正案が可決されたのですが、そもそも離脱条件は英国が単独で決定できる問題ではなく(英議会が反対したところで、EUが条件に合意しなければノーディール・ブレグジットになる)、したがって法的拘束力はありません。

 メイ首相はこれからEU側と交渉を始めて、2月中旬に再々採決をするとみられていますが、展望は全くといっていいほど開けていません。

 マーケットは不透明さを嫌い、基本ブレグジット反対(EU離脱で英国は没落)なので、ポンドの売り圧力が今後高まると思われます。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
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