高速車両の受注遅れで17年は苦戦、18年以降のビジネス急回復を予想

現地
コード

銘柄名 株価 情報種類
03898

株洲中車時代電気
(CRRCタイムズ・エレクトリック)

 38.10HKD
(8/10現在)

株価
企業情報
チャート

 中国中車(01766)などと同様、株洲南車時代電気もEMU(動力分散式高速車両)関連の新規受注の遅れという逆風に直面している。BOCIは架線検測・メンテンナンス車両の納品規模の増加がマイナス影響をカバーするとしながらも、やはりEMU関連ビジネスの受注減が2017年中間決算の足かせになるとの見方。利益見通しの減額修正に伴い、目標株価を引き下げた。ただ、同社の技術競争力の高さなどを前向きに評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国では鉄道完工距離が17年にわずか2100kmにとどまる見通しとなり(16年は3281km)、鉄道建設・運行を一手に担う中国鉄路総公司(CRC)による設備発注が遅延。これが設備メーカー各社の業績に影響している。ただ、CRCは「第13次5カ年計画」(16-20年)期間中に、総延長3万km分の鉄道を新たに開通させる計画を明らかにしており、BOCIは18年以降、完工規模が大きく回復すると予想。18年には前年比186%増の6000kmに達し、19年および20年には各9310kmを記録するとみている。

 政府当局が9月にも、北京-上海高速鉄道の最高速度を当初計画通りの時速350kmに引き上げる計画を明らかにしたことも、18年のEMU需要の伸びにつながる見通しという(最高速度は11年の列車事故以来、時速300kmに制限されていた)。

 一方、同社は16年10月、架線検測・メンテンナンス用車両30台の大型受注(17億元)を獲得しており、その引き渡し時期は16年末-17年上期となる予定。17年6月中間期には、これがEMU受注の遅れによるマイナス影響をカバーする可能性が高い。また、この受注を受け、保線機械の国内最大手、中国鉄建高新装備(01786)向けビジネスに占める同社の受注シェアが拡大したという。EMU受注が縮小する中、同社にとってはメンテ車両事業が重要度を増しているもよう。BOCIはメンテ車両部門の売り上げ構成比が11年の8.4%から、16年には12.2%に上昇したことを指摘している。

 北京-上海間では17年6月、国内開発の高速車両「復興号」が運行を開始したが、BOCIはこれに伴い、17年下期に大口受注を獲得する可能性を指摘。中国標準のEMUの大量生産が同社のさらなるシェア拡大につながるとみている。「復興号」は規格やインターフェースが統一されており、同社は旧・中国北車(中国中車は中国北車と中国南車との合併により発足)の施設を含め、一手に関連部品の組み立てプラントを供給することが可能。これを機に旧・中国北車の牽引システム事業との統合が期待できるとしている。

 BOCIは同社利益に関する市場予想が過度に楽観的であるとし、現実に即して同社の予想純利益を減額修正。17-19年に前年比それぞれ6%減益、8%増益、6%増益となる見通しを示した。17年予想PER16.5倍をあてはめて目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対する強気見通しを継続している。