引き続き米国の原油生産量の増加、OPECの減産の行方に注意

 OPECの原油生産量は12月、前月比で減少と先述しましたが、図6のように、米国の原油生産量は増加しました。2019年1月時点のEIAの見通しによれば、米国の原油生産量の増加傾向は来年2020年末まで続くとされています。

図6:米国の原油生産量 

単位:百万バレル/日量
出所:EIAのデータを基に作成

 

 逆オイルショック時に100ドル台だった原油価格は30ドル前半まで(終値ベース)、およそ70%の下落となりましたが、それによって減少したことが大きく報じられた米国の原油生産量は実際には12%程度の減少にとどまりました。

 原油相場の動きと数カ月間の時間差がある米国の原油生産量は、2018年10月から12月までの原油相場の下落を受け、今後減少する可能性はありますが、急減することはないと筆者は考えています。引き続き、米国の原油生産量の増加が、OPECの減産効果を下げ続ける展開が続く可能性があります。

 そして、これまで詳細が決まっていなかった次回、第176回OPEC総会とOPEC・非OPEC閣僚会議の日程が、先週半ばに発表されました。第176回OPEC総会は4月17日(水)、OPEC・非OPEC閣僚会議は翌4月18日(木)で、前回同様、ともにOPECの本部(ウィーン)で開催されることとなりました。ここでOPECの減産について話し合われる予定です。
2018年12月の前回の会合で、次回の会合を2019年4月に開催するとしていましたが、これがようやく決定したわけです。

図7:OPEC減産の今後について

出所:OPECの情報を基に作成

 通常、OPECは年に2回、総会を開催しています。

 年に2回というのは、5月もしくは6月の年央、11月もしくは12月の年末、ということです。これらの「定時」以外の総会は「臨時」ということになります。

 12月の総会で、4月に総会を行うことを決定しましたが、これは臨時で行うという意味であり、その1カ月もしくは2カ月後の5月もしくは6月に、定時総会が行われることが想定されていたわけです。すでに現段階で臨時総会が予定されているということは、4月の臨時総会で伏線を張り、5月もしくは6月の定時総会で重要事項を決定するプロセスが進行していると推測できます。

 7月以降も減産をするのか、2017年1月から2年半続けた減産を終了するのか、どちらかは分かりません。しかし、このようなワンクッションを設けたプロセスは、市場への負のインパクトを軽減することを目的としている可能性があります。その意味では、減産終了を決定するためのプロセスがすでに進行している可能性は否定できません。

 米国の原油生産量の増加でOPECの減産効果が下がる懸念、そしてOPEC減産終了の懸念がある中で、原油価格が動いている点について、留意が必要だと考えています。