昨年末に一時42ドル台まで下落したWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油相場でしたが、1月21日時点で54ドル台まで回復してきました。

 価格は強弱、さまざまな材料を織り込みながら推移していますが、今回のレポートでは、先週公表された各種統計から、今後の原油相場を考える上で重要と考えるデータや決定事項について解説します。

参考:WTI原油先物(期近、日足、終値) 

単位:ドル/バレル
出所:CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のデータを基に作成

 

世界の石油需給バランスは、4カ月ぶりに供給不足に転じ、原油相場をサポート

 昨年10月から12月まで原油相場は大きく下落しました。その背景には世界の石油需給バランスが供給過剰だったことが挙げられます。

 供給過剰の状態は、2014年後半から2016年初頭まで起きた原油価格の急落・低迷時、いわゆる「逆オイル・ショック」の主因と言われるなど、原油においては下落要因となります(供給不足は上昇要因)。

 供給過剰、または供給不足の状態が連続して数カ月間続いた場合、原油の需給バランスに「トレンドが生じている」ことになり、そのような場合、それに追随するように、原油相場にトレンドが発生することがあります。

 2018年12月は、わずかですが「供給不足」になりました。供給不足は4カ月ぶりです。それ以前の3カ月間(9月~11月)は連続して過去2年間の最高水準の供給過剰であり、それを反映して原油相場も大きく下落しました。

図1:世界の石油需給バランス 

単位:百万バレル/日量
出所:EIA(米エネルギー省)のデータを基に作成

 

世界の石油消費量は増加し、歴史的水準を更新中

 需給バランスは「供給量-消費量」で計算します。供給と消費、両方の要素を持っているわけです。

 図2は供給量の推移、図3は石油の消費量の推移です。

図2:世界の石油供給量 

単位:百万バレル/日量
出所: EIAのデータを基に作成

 

図3:世界の石油消費量 

単位:百万バレル/日量
出所:EIAのデータを基に作成

 

 上記を見ると、2018年12月は前月に比べて供給の減少と同時に消費の増加が起き、その結果、供給不足になったと言えます。