高速車両の受注遅れで17年は苦戦、18年以降のビジネス急回復を予想

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01766

中国中車股フン有限公司
(チャイナ・シーアールアールシー)

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 中国中車の2017年通期決算について、BOCIは純利益が前年比横ばいにとどまるとみている。EMU(動力分散式高速車両)の新規受注の遅れと、それに伴う引き渡しの減少が背景。年初からEMUの大口受注は見られず、17年にはEMUの納品が前年比20%減少する見通しという。

 BOCIは機関車や地下鉄車両、その他新規ビジネスの復調がマイナス影響をある程度カバーするとしながらも、17-19年の予想純利益を13-17%減額修正し、これに伴い目標株価を引き下げた。鉄道完工量の回復による18年以降の受注増を見込み、中長期視点から楽観見通しを示しながらも、短期的な低成長リスクと支援材料の欠如を指摘。同社株価の先行き見通しを強気から中立的に引き下げている。

 中国国内の鉄道建設・運行を一手に担う中国鉄路総公司(CRC)が示した目標値を見ると、17年の鉄道完工距離は2100kmと、16年の3281kmや、16-20年の年平均予想6000kmを大きく下回る見通し。中国の鉄道車両・設備銘柄にとって、国内唯一の大口取引先はCRCであり、その設備調達の遅れは中国中車だけでなく、株洲中車時代電気(03898)や中国鉄建高新装備(01786)にもマイナス影響を及ぼす要因となる。うち中国鉄建高新装備の17年6月中間決算は実際、前年比88%増の大幅減益となった。

 ただ、BOCIは17年に完工距離が落ち込んだ理由として、CRC経営陣の入れ替えを指摘し、18年以降は明らかに上向くとみている。CRCが「第13次5カ年計画」(16-20年)期間中に、総延長3万km分の鉄道を完成させる計画を明らかにしているためで、18年には6000km、19年と20年には各9310kmと、17年比で完工量が急増するとの見方。まずは17年末にも、CRCがEMUの新規発注に動くと予想し、その規模が16年実績を上回る可能性を指摘している。

 BOCIによると、18年に鉄道完工距離が回復する見通しのほか、◇政府当局が北京-上海高速鉄道の最高速度を当初計画通りの時速350kmに引き上げる計画を発表したことで、EMU需要の伸びが見込める(11年の列車事故以来、時速300kmに制限されていた)、◇海外鉄道プロジェクト向けの輸出需要が拡大している――ことなども、同社にプラス。

 北京-上海ではすでに、国内開発の高速列車車両「復興号」が運行を開始しており、BOCIは17年下期に大口受注が期待できるとの見方だ。また、海外においては、マレーシア東部沿海鉄道の建設工事が8月にスタートしており、今後は海外での鉄道建設事業が同社の受注上乗せにつながるとみている。

 ただ、EMU受注の遅れなどから、BOCIは17-19年の予想純利益を減額修正し、前年比の増益率をそれぞれ1.0%、7.5%、8.8%に設定。17年予想PER16.5倍をあてはめて目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する見方を中立的に引き下げている。