1月に注目したい新興株の動き

 先月12月の新興株市場がひど過ぎた…この反動が大きく出るか? に注目の1月ですね。前述の通りで、11月は地合い悪化によるロスカットに加え、年末による損出し目的の売りも加速。その結果、塩漬け状態だった信用買い残高もかなり減少し、戻り売り玉(シコリ)はかなりスリムになったといえます。また、年間でIPO数がピークとなる12月とは異なり(しかも2018年12月はソフトバンクのIPOがあった)、1月はIPOの空白期間。IPO銘柄に資金が向かうという現象がなくなるため、これも需給好転につながります。

 過去の「陰の極」的なタイミングで発生した現象も、先月12月には起きています。地合い最悪の21日にマザーズに上場したポート(7047)の初値が、公開価格を37%も下回りました。人気のあるマザーズIPOの初値で、これほど大きく公開価格を割り込んだのは…さかのぼること10年、2008年10月以来でした。リーマン・ショックの翌月ですね。その後セカンダリー市場では大きく上昇したのですが、2008年10月に上場したリニカル(2183、現在は東証1部)の初値騰落率が▲38%以来のことです。

 さて、1月の新興株市場。季節的なことでいえば、「バイオ株がなぜか物色される」ことが挙げられます。2019年も大発会を見ると、新興市場でバイオ株が物色されていました。1月4日に、新興市場全体で売買代金トップになったのは創薬ベンチャーのオンコリスバイオファーマ(4588)。これ、2018年の1月も同じでした。2018年1月の月間売買代金トップ銘柄は、ジャスダックに上場する創薬ベンチャーのラクオリア創薬(4579)。なぜか火を噴くバイオ株…。

 2019年のオンコリスバイオファーマ、2018年のラクオリア創薬に共通するのは、前年末にかけて急上昇して年をまたいだ銘柄ということ。需給が良好な状態で新年を迎えているわけですね。そして、個人投資家にとって1月は新しい年のスタートです。「出足で利益をコツコツ出しておきたい」という心理から、需給良好な銘柄を順張りエントリーする参加者の比率が高まるのではないでしょうか。強い銘柄に付く、といった参加者が多そうな1月。それだけに、銘柄によってはオーバーシュートし過ぎる銘柄も出てきそうです。ちなみに、2018年1月の新興株値上がり銘柄ワンツーは、ジャスダックの大村紙業ニチダイ。あれから1年経つのですね…好発進したこの2銘柄、2018年の1年間、どういう推移になったのかも、ぜひチェックしてみてください。何事もほどほどに…。