新年の日経平均は低位スタート?年後半に向け株高か
既述のとおり、今回の日米株式急落はファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)やバリュエーション評価と関係の薄い需給波乱によるものと考えています。2019年4月までの平成時代で最後の「買い場」となる可能性があります。
もちろん、株価下落による逆資産効果や資金調達コスト上昇が実態経済に与える影響を見極める必要はあり、市場心理の改善に日柄調整を要する可能性もあります。新年相場は、米中・日米の貿易交渉、BREXIT(ブレグジット:英国のEU[欧州連合]離脱)などが待ち構える1~3月に底値を確認。米国、中国、日本が景気対策を打ち出すに従い年後半に向け株価が回復していくと考えています。
そこで、株価の回復余地を考えるモノサシとして注目したいのが日経平均の予想EPS(1株当たり利益)と予想PER(株価収益率)から上値と下値の目途を試算する方法です。
ボラティリティの上昇がファンド筋の株式売りを加速させてPERを押し下げました。一時的に株式のリスクプレミアムを拡大させた(益利回りを拡大させた)とも言えます。米国でも日本でも長期金利は低下しており、しばらくは低位で推移するとみられます。注目は、業績見通しに影響する景気の行方です。
現在の日経平均ベースの予想EPSは1,790円程度で、貿易戦争の激化、原油相場(商品相場)高騰、景気後退入りが現実化しなければ、小幅でも増益基調の持続が視野に入ってきます。予想PERが10.7倍まで低下した今週の日経平均に割安感は否めません(図表3)。2019年の日経平均は「年初の2万円程度から年後半は2万5,000円程度を目指す」を予想しています。
図表3:日経平均、予想PER、予想EPSの推移
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