マニュアル運転に切り替わり、白魔術の効力が急に衰え始めた

 ところが、この白魔術の効力が急に衰え始めたのです。

 一方「貿易戦争」に関しては、米中双方が追加関税の発動について、期限付きながら一時的に見送りを決定するなど明るい兆しも見えています。しかし、トランプ米政権が日本を次の標的に選ぶというリスクは逆に高まっているようです。特に、ムニューシン米財務長官が日本に押しつけようとしている「為替条項」は問題です。   

 為替条項とは、輸出競争力を高めるために通貨安誘導を行うことを禁止するもので、日銀の量的緩和政策も通貨安誘導の範疇(はんちゅう)に含まれる可能性があります。「ドル/円の上昇余地は限られる」と日本の輸出企業が判断すれば、ドル売りの為替予約が積極的になり、それがさらにドル/円の上値を重くするという、負のスパイラルを招くこともありえます。世界最大のファンドといわれる日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、「為替変動リスクを抑制するためのヘッジ取引を実施する体制を整えた」と述べたことも偶然ではないように思えます。

 

来年2019年3月は、為替マーケットにとって非常に重要な月になるでしょう

 来年2019年3月はマーケットにとってターニングポイントになることが予想されます。

 FRBが3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げを決定するかどうかによって、ドルの方向が決まる可能性があるからです。また3月は米国の対中追加関税猶予の期限にもあたります。

 FRBが利上げしてマーケットが安心するのか、それとも利上げ休止が現実になるのか。その答えは1月、遅くとも2月にはFRBが伝えてくるでしょう。2019年は年明けから波乱のスタートになりそうです。

 ただ、最初にも書きましたが、2019年の為替マーケットは、2年余り続いたドル独り勝ちの時代が終わり、サイクルとしてのドル安時代が始まる年になると予想しています。3月に利上げがあるとしても、米国は永遠に利上げを続けるわけではありません。そろそろ終了の時期が近付いています。米国の利上げが終わり、今度は欧州が利上げを開始することになれば、相対的にドルの魅力は薄れていくことになるでしょう。

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