とりあえず、押さえておきたい2019年のイベント

 

 2019年も、日本株にとって重要なイベントはたくさんあります。最低限、押さえておきたい8つのイベントをピックアップしました。うち3月までのイベントを解説します。

2月(28日)米国:対中国の通商交渉期限

 12月1日の米中首脳会談で、90日間の通商交渉を行うことが決まりました。交渉期限は2019年2月末です。交渉中は関税を引き上げないことも合意されました。

 1月から、米国は中国からの輸入品2,000億ドル相当にかけている制裁関税10%を25%に引き上げる計画でしたが、とりあえず2月末までは引き上げないこととなりました。

 一方中国は、2018年、自動車の輸入にかける関税を15%まで下げましたが、米国からの輸入車だけは40%としていました。米国が中国に制裁関税をかけていることに対する報復という位置づけでした。中国は、2月末までの交渉期間中は、関税を15%にすると発表しました。
米国も中国も、2月末までと区切って通商交渉に臨むわけです。もし2月末までに交渉がまとまらないと、米国は、2,000億ドルにかける関税を25%に引き上げ、中国は米国からの輸入車の関税を40%に戻すことになります。

3月(1日)米国:債務上限引き上げ期限

 財政赤字が続く米国では、定期的に米国債の発行上限を引き上げないと、財政をまかなえません。ところが、政府与党の力が弱いと、議会が債務上限の引き上げをすんなり認めない可能性があります。債務上限の引き上げ期限が近づいても、議会の承認がおりない場合は、米国債の償還財源がなくなるリスクが騒がれます。また予算が枯渇して、一時的に政府機関が閉鎖になることもあります。

 11月の中間選挙で、トランプ大統領の共和党は、下院で過半数を失いました。上院では共和党が過半数を維持しましたが、下院で野党・民主党が支配する「ねじれ議会」となったわけです。

 この状態で、次の債務上限引き上げ期限の3月が近づくと、いつもの見慣れた光景ですが、上限引き上げが議会ですんなり通らず、不安が高まるリスクがあります。

3月(19~20日)米国:FOMC

 2018年に、FRB(米連邦準備制度理事会)は、4回の利上げを実施しました。ただし、2019年は利上げ打ち止めが近づくと考えられています。2019年の利上げ回数は0回あるいは1回との見方も出ています。

 1月にもFOMC(米連邦公開市場委員会)はありますが、1月は政策変更しないのが常ですので、2019年に利上げがあるかないかを占う最初の試金石となるのが、3月のFOMCです。そこで利上げがあるかないか、注目が高まります。

3月(31日)英国:ブレグジット協議期限

 ブレグジット(英国のEU離脱)の条件について、英国とEU(欧州連合)の交渉が暗礁に乗り上げています。英国メイ政権とEUが決めた離脱合意案は、英国議会で与党内の反対派から承認が得られそうになく、採決が見送られました。

 交渉期限は来年の3月で、4月からの離脱の移行期間に入ります。それまでに離脱条件について英国とEUで合意が成立しないと、ハード・ブレグジット(合意なき離脱)となります。英国とEUの間の通商・経済連携にいきなり大きな障壁ができ、英国・EUともに大きなダメージを受けます。

 このほかにも相場に影響を与えるイベントはいろいろありますが、とりあえず、1~3月の重要イベントだけはしっかり頭に入れて、投資戦略を考えていく必要があると思います。

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