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『日銀短観』は、日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が代表的な指標として最も注目されます。景況感のほかに、企業の売上、収益、設備投資、雇用などの計画や業況判断も発表されます。12月14日発表の12月の『日銀短観』は、大企業・製造業のDIが横ばい、非製造業は改善しました。
【ポイント1】大企業・製造業の景況感は前回から横ばい
先行きの景況感は悪化
12月の『日銀短観』は、大企業・製造業の景況感を示す業況判断DIが19でした。前回から横ばいですが、慎重に見ていた市場予想を上回る結果となりました。為替レートが想定よりも円安で推移していることがサポートしたとみられます。業種別にみると、石油・石炭製品、造船・重機等が改善、一方木材・木製品、生産用機械などが悪化しました。また、3カ月後の先行きのDIは、4ポイント悪化の15が見込まれています。
大企業・非製造業の業況判断DIは24と、前回調査から2ポイント上昇しました。自然災害の影響が和らいだことや国内消費の堅調などが景況感の改善につながった模様です。先行きのDIは、4ポイント悪化の20が見込まれています。
【ポイント2】設備投資計画は堅調
18年度想定為替レートは109.41円
18年度の設備投資計画は、大企業・全産業ベースで前年度比+14.3%と前回調査からわずかながら上方修正されました。大企業・全産業の設備投資意欲は引き続き堅調です。
注目される大企業・製造業の18年度の想定為替レートは、1ドル=109円41銭と、前回調査(107円40銭)から円安に修正されました。
雇用人員判断DI(全規模・全産業ベース)は▲35と2ポイント低下しました。
【今後の展開】『日銀短観』は想定よりは良好となったが、先行きは不透明
大企業・製造業が横ばい、大企業・非製造業は改善、設備投資は上方修正となり、慎重にみていた市場の見方よりは良好な結果となりました。自然災害の影響が和らいだことや為替レートが想定より円安で推移したことなどが景況感をサポートしたとみられます。ただし、米中貿易摩擦に対する警戒感や世界的な株価の不安定な動きなどから先行きに対しては不透明感が強まっており、今後の動向が注目されます。