リテール業務に強み、プラットフォーム統合や技術向上で競争力さらに強化へ

現地コード 銘柄名
01658

中国郵政儲蓄銀行

(ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類
 4.62HKD
(12/6現在)
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 中国郵政儲蓄銀行は向こう2年間、個人向け融資およびクレジットカード業務を主力事業に位置づける方針。さらにプラットフォームの統合や技術レベルの向上により、リテール部門の優位性を強化する計画を明らかにしている。ただ、BOCIは5大商業銀行(4大国有商銀+交通銀行)と比べた同行のPBR(株価純資産倍率)の高さを指摘。さらに総合金融サービスやスタッフの専門性、IT技術などの相対的な弱さを理由に、同業銘柄に比較において一段のバリュエーションの上昇には期待しにくいとした。現在株価はすでに適正水準にあるとみて、先行きに対する中立見通しを継続している。

 “中国版ゆうちょ銀行”である同行の生来の強みはリテール業務であり、経営陣は引き続き、同業務の発展を最も重視している。◇貧困者や零細事業者などを対象とする「金融包摂」、◇消費者金融、◇三農(農村・農業・農民)金融という3つのビジネスに照準を合わせており、BOCIはこの方針を前向きに評価している。同行の営業拠点数は3万9775カ所と世界最大。リテール部門の顧客数は5億6500万人と、中国最大手の中国工商銀行(01398)のリテール顧客数5億8700万人に匹敵する規模であり、現在も拡大中。16年上期-18年上期には、リテール顧客数が年率4.95%増(うちVIPは15.32%増)。リテール顧客の金融資産は10.57%の伸びを示した(VIPは16.61%増)。

 BOCIは個人向け貸出残高の伸びが5大商銀を上回ることなどを評価し、今後も政策支援や消費アップグレードを追い風とした個人向け業務の伸びが続くとみている。経営陣は「住宅ローンとその他消費者ローン」の残高を18年7-9月期の1兆6300億元から20年には2兆2000億元に引き上げる目標を掲げており、これは17-20年に年平均16.0%の伸びを意味する。15-17年(同38.4%)比では減速となるものの、引き続き同業銘柄を上回る見通しという。

 一方、クレジットカード業務は引き続き、仲介収入の最大の成長エンジンとなる見込み。クレジットカード発行枚数および消費額は16年上期-18年上期にそれぞれ34.27%、27.28%の伸びを示した。経営陣は20年に4000万枚を目指す方針。この目標は17-20年の年率平均換算で32.9%増となる。

 同行は技術レベルの向上やプラットフォームの統合により、リテール業務の優位性をさらに高める方針。営業拠点レベルで業務の効率化や専門性の向上を目指すとともに、急成長するスマホバンキング・サービスに対応するため、実店舗とオンラインプラットフォームとの統合を進める。

 BOCIは同行の現在株価の18年予想PBR0.78倍が5大商銀を上回るとし、適正水準にあるとの見方。すでに収益性の力強い伸びが株価に反映されたとみて、先行きに対する中立見通しを継続している。