では、このまま日経平均が下げ続けてしまうのかというと、現時点ではまだ判断できない面があります。

 あらためて図1に目を向けると、直近の安値どうしを結んだ線のところでかろうじて踏ん張っており、「悪材料が重なった割には頑張った」と考えることができるからです。今週は安くスタートしそうですが、週末の時点でこの線を維持できるかが注目点のひとつになります。

 また、先週の株価下落の要因となった「逆イールド」についても、今回、長短金利が逆転したのは米国の2年債と5年債です。一般的に注目されるのは2年債と10年債の逆転であるほか、逆イールドが発生してから、実際の景気後退までにはある程度のタイムラグがあることを踏まえると、先週の国内外の株式市場の反応は、米国景気のピークアウトに対して先取りし過ぎた面も少なからずあると思われ、買い戻しの展開があってもおかしくはありません。

 ただし、米中関係の悪化が懸念されるほか、さらに今週は英国でEU離脱協定案の議会採決が控えていること、そして週末にはメジャーSQが控えていますので、今週が波乱含みである点は要注意です。値動きの振れ幅が大きくなる可能性があるため、株価が下げたところを拾う押し目買いよりも、反発からの戻りを狙う買いの方が有効かもしれません。

 そうは言っても、この反発狙いの見極めとタイミングの判断は難しいものがあります。そこで、今回はその目安としてRSIの「逆行現象」に注目する見方を紹介します(下の図3)。

■(図3)日経平均(日足)とRSI(2018年12月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 

「逆行現象」とは、株価の動きとRSIの動きの向きが反対になる状態のことです。RSIをはじめ、サイコロジカルラインやストキャスティクスなど、いわゆる「オシレーター系」のテクニカル指標には、しばしばこの逆行現象に注目する見方が登場します。

 逆行現象には、トレンドの反転を示す「トレンド転換型」と、トレンドの継続を示す「トレンドフォロー型」の二つが存在するのですが、ここで注目するのは「トレンド反転型」です。

 今回は細かい説明を省きますが、具体的には株価が下方向に安値を更新していく一方で、RSIが上向きになっている状況を捉えます。実は上の図3のように、この状況が10月の急落時に出現していて、その後の株価はしばらく戻り基調を演じました。

 トレンド反転型の逆行現象は下落トレンドの終盤で現れやすい傾向があります。株価が安値を更新しながら下がった後に反転の動きを見せたとき、RSIが逆行現象となっていれば、ひとまず下げ止まりの目安になるほか、その後は戻りを試す展開になる可能性が意識されやすくなります。

 トレンド転換の判断材料として、これまで平均足とMACDの組み合わせ(平均足の転換とMACDとシグナルのクロス)について紹介したことがありましたが、さらに波乱含みの展開が想定される際には、RSIの動向もチェックすると良いかもしれません。